バナメイエビの「スマート養殖」最適パッケージ化の実証試験を開始

  バナメイエビ種苗

バナメイエビの「スマート養殖」最適パッケージ化の実証試験を開始

 バナメイエビは、世界で最も食されているエビです。1尾15~18グラム程度の小型サイズが主体で日本では寿司のネタ、エビフライ、むきエビなど幅広い用途で使われています。このバナメイエビの種苗(養殖のための稚エビ)は海外から輸入することが多く、度々海外由来の特定疾病※2による被害が発生しています。そのため養殖業者は、全滅することもある病気のリスクに悩まされています。 これらの課題を解決するため、4社共同で、国産のバナメイエビの種苗を用いて、最適な養殖方法を検討します。200トン⽔槽3基を⽤いて、同時に閉鎖循環式養殖※3とバイオフロック養殖※4を実施します。各⽅式のメリット・デメリットを抽出し、最適な養殖⽅式の選択および改良の⽅向性を模索します。 バナメイエビ養殖では、閉鎖循環式養殖とバイオフロック養殖が主流で、いずれの方式も水の入れ換えを一切行わないため、病気発生のリスクを下げる利点があります。しかし、実際の養殖場の規模ではこの両方式を比較検証した例がなく、どちらが優れているか明らかになっていません。これらをICTなどの活用により比較検証いたします。【閉鎖循環式養殖とバイオフロック養殖の模式図】 リージョナルフィッシュ、奥村組、NTTドコモ、岩⾕産業は各社の強みを⽣かした技術を下記のように結集させ、オープンイノベーションを推進し、持続可能な水産業の実現へ貢献します。【各社役割】【養殖⽔槽の構築と養殖の実施】①奥村組の閉鎖循環式養殖システムの構築 奥村組においては、閉鎖循環式養殖のシステム構築、閉鎖循環式養殖を実施します。この実証試験で各種機能の最適化を検証し、当該システムの安定運用をめざします。②リージョナルフィッシュの国産種苗の提供とバイオフロック養殖システムの構築 リージョナルフィッシュは、バナメイエビの国産種苗を提供し、バイオフロック養殖を実施します。また、世界で初めてバナメイエビのゲノム編集にも成功しており、品種改良を進めてまいります。【⽔質の遠隔監視と⽣育に適した養殖環境の構築】③NTTドコモのICTブイをベースとした⽔質遠隔監視システム NTTドコモが提供するICT水質遠隔監視装置は、⽔温、溶存酸素、塩分、pH等の⽔質測定データを、「ウミミル」アプリを通してスマートフォンでも確認できます。また他社センサーデータ(アンモニアなど)をAPI連携にて「ウミミル」で提供します。④岩⾕産業の酸素溶解装置による⾼効率酸素供給 陸上養殖において、効率的な酸素供給は必要不可欠です。岩谷産業は、高濃度酸素溶解装置を用いて、溶存酸素濃度を最適な状態に制御することで、収量増加の実現をめざします。【注釈】※1 バナメイエビは、世界で最も食されているエビであり、500万トン・10兆円の市場があります(出典 FAO 2019年)。1尾15〜18グラム程度の⼩型サイズが主体で、⽇本では寿司のネタ、エビフライ、むきエビなど、幅広い⽤途に使われています。※2 特定疾病とは国内における発⽣が確認されておらず、または国内の⼀部のみに発⽣している養殖⽔産動植物の伝染性疾病であって、まん延した場合に養殖⽔産動植物に重⼤な損害を与える恐れがあるものとして農林⽔産省令で定めるものをいいます(持続的養殖⽣産確保法第2条第2項、https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000051)。※3 閉鎖循環式養殖とは、ろ過システムを用いて飼育水を浄化しながら循環利用する養殖方式です。※4 バイオフロック養殖とは、養殖水中に炭素源を添加することでバイオフロックと呼ばれる微生物の塊を生じさせ、微生物の力で水質浄化を図る養殖方式です。 ■リージョナルフィッシュ株式会社 概要代表:代表取締役社長 梅川 忠典所在地:京都市左京区吉⽥本町36番地1 京都⼤学国際科学イノベーション棟URL:https://regional.fish/■株式会社奥村組 概要代表:代表取締役社長 奥村 太加典所在地:大阪市阿倍野区松崎町2-2-2URL:https://www.okumuragumi.co.jp/■株式会社NTTドコモ 概要代表:代表取締役社長 井伊 基之所在地:東京都千代田区永田町2-11-1 山王パークタワーURL:https://www.nttdocomo.co.jp■岩谷産業株式会社 概要代表:代表取締役社長 間島 寬所在地:大阪市中央区本町3-6-4