岸田首相、1カ月以上会見開かず 「国民への丁寧な説明」どこへ 与党内からも不信
岸田文雄首相(資料写真)
「国民への丁寧な説明」を掲げ就任した岸田文雄首相が年初の1月4日以来、1カ月以上も記者会見を開いていない。7日の衆院予算委員会では野党から「発信不足」を指摘された。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、説明機会が乏しいままなら与党からも批判を浴びかねない様相だ。菅義偉前首相(衆院神奈川2区)や安倍晋三元首相は感染対策や国会の節目に会見を開いていた。岸田首相の場合、今年に入り3度にわたるまん延防止等重点措置の適用を決める機会に会見をしていない。 今月3日には1日当たりの新規感染者が国内全体で10万人を初めて超え、和歌山県への同措置の追加適用の決定もあった。しかし首相は官邸などに出入りする際に立ち止まって記者団の質問に答える「囲み取材」にすら応じなかった。 7日の予算委では立憲民主党の小川淳也政調会長から「聞く力も結構だが、危機管理の状況下なのだから決断をし発信をし実行していくことが問われている」と釘を刺された。同党幹部は「首都圏などでのまん延防止延長が濃厚となっている中で、きちんとした会見を持たないなら完全な公約違反だ」とけん制する。 さかのぼれば首相会見は1月4日に伊勢神宮参拝の際に恒例で開く「年頭記者会見」が最後。4日の定例会見で前日の首相の報道対応について問われた松野博一官房長官は「情報発信は首相だけでなく、各閣僚から適切になされている」などと論点をずらした。 同じ日、政府コロナ対策分科会の尾身茂会長は会見で「リーダーの強いメッセージが求められている。総理の口から分かりやすく発してもらいたい」と要望。首相に対し公然と注文を付けた。与党内からは「岸田総理は前総理や元総理の発信不足を批判して就任したことを忘れているのでは」(自民党幹部)との不信も漂い始めている。
神奈川新聞社