大雪による停電で水洗トイレが使えなくなる 過去のブラックアウトに学ぶ

2020年12月18日夜から大雪の恐れがあり、新潟県、兵庫県、鳥取県で、停電が発生しているとのことです(2020年12月18日 1時32分のNHK NEWS WEB)。

今回、皆さんにお伝えしたいことは、大雪で停電すると断水する可能性があることです。つまり、大雪で水洗トイレが使えなくなることがあるのです。

東京電力ホールディングスのウェブサイトによると、以下のように説明があります。とくに気温が摂氏0度ぐらいの雪は湿っているので重いので、電線や樹木に積もりやすく、雪の重みや倒木により電線を切断するトラブルにつながりやすいです。電線に雪が積もった状態で強風が吹けば、電線は激しく揺れるため停電のリスクは高まります。

以上のような理由で、大雪の際は停電する可能性があります。

停電で困ることといえば、照明がつかない、暖房器具が使えない、エレベーターが動かないなどがあげられますが、ここで忘れてはいけないのは水洗トイレが使えなくなることです。なぜかというと、停電により建物に水が供給できなくなるからです。

ここで、ものすごく大雑把に、建物に水を供給する仕組みを説明します。

横浜市によると、建物に給水する方法は、大まかに「直結直圧式給水」「直結増圧式給水」「受水槽式給水」の3つになります(下図参照)。

この図でわかるとおり、「直結増圧式給水」「受水槽式給水」については、ポンプの力で水を各戸に供給するため、停電でポンプが動かなくなると断水します。高置水槽がある場合は、水槽内に溜まっている水が出ますが、無くなり次第、断水となります。停電時でも水が出る可能性があるのは、「直結直圧式給水」です。

ただし、地域全体が停電すれば、浄水場やポンプ場も稼働できないので、水が送れなくなります。

 大雪による停電で水洗トイレが使えなくなる 過去のブラックアウトに学ぶ

停電で断水する理由がご理解いただけましたでしょうか?

ご自宅の給水方式をチェックしておくことはとても重要です。前段の説明が長くなりましたが、大雪による停電で断水する可能性があるため、それに伴って水洗トイレが使えなくなることを想定する必要があります。

2018年の北海道胆振東部地震では、地震発生後、発電所の停止により道内全域の停電、いわゆるブラックアウトになりました。このときのことを札幌市内の2か所のマンションでヒアリングしたことがあります。いずれも断水しましたがどちらのマンションにも1階に住民が使える蛇口があったため、水を汲むことができたそうです。ポンプを介さない給水口をマンションの1階に設けてあったのです。

しかし、トイレ洗浄水として、この水を各戸に人力で運ぶのは容易でありません。節水型の便器だとしても恐らく1回あたりに6リットル程度は必要になると考えられます。エレベーターは動かないので、お年寄りや車いす利用者等は大変です。飲み水の確保も困難な状況ですので、貴重な水をトイレに流すことはしたくないはずです。このマンションでは、居住者の男性や子どもが水を運ぶのを手伝いました。

大雪で水洗トイレが使えなくなったときのことを想像してみてください。建物内は真っ暗、もちろん外も真っ暗です。寒くて屋外で用を足すという状況ではありませんし、そもそも屋外に出たくないと思います。前述のとおり、トイレに流す水を運ぶのは容易ではありません。

そこで、このようなときに役立つのが「携帯トイレ(下図参照)」です。

携帯トイレとは便器に取り付ける袋式のトイレで、吸収シートや凝固剤を入れて、うんちとおしっこを安定化させる製品です。携帯トイレのメリットは、建物内のトイレを有効活用できることです。

こちらの記事にイラストを用いて解説してありますので参考にしてください。

携帯トイレさえあれば、断水したとしても自宅のトイレで用を足すことが出来ますので、安心です。携帯トイレ(製品)は、吸収量や凝固継続期間、臭気対策などによってさまざまな製品が開発されています。性能を公開していますので、こちらを参考にしてください。

携帯トイレとセットで備えて頂きたいものは照明です。自宅のトイレに窓がなければ昼間でも真っ暗です。そのため、トイレ室内を照らす照明が必要です。空間全体を照らすことができるもので、両手がフリーになるものをおすすめします。

今回は、大雪による停電時のトイレの備えについて説明させていただきましたが、地震でも水害でも、水洗トイレが使用できなくなる可能性は大きいので、ぜひ携帯トイレを備えて頂きたいと思います。トイレがなければ生活が成り立たないと覚えておいてください。