食べられるコンクリートが登場!廃棄物から建材を作る驚きの最新技術

食べられるコンクリートが登場!廃棄物から建材を作る驚きの最新技術

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“リサイクルコンクリート”について、キャスターの田中陽南が取材しました。◆環境にもやさしいリサイクルコンクリート身の回りの至るところに使われているコンクリートですが、工事などで発生する“がれき”の量は年間約3,000万トン以上。そんなコンクリートの環境負荷を減らし、新たなコンクリートへと生まれ変わせる技術「リサイクルコンクリート」。田中はその技術について聞くべく、東京・駒場にある東京大学の研究室に向かいました。話を伺ったのは、東京大学 生産技術研究所の酒井雄也准教授。研究室ではさまざまな建設材料の研究・開発が行われており、そのひとつがリサイクルコンクリートを作る研究です。通常、コンクリートは砂や砂利、水、そしてセメントを混ぜて作られますが、接着剤の役割を担うセメントは製造する過程で多くのCO2を排出。その量はなんと全世界で年間41億トン。CO2総排出量の約8%にものぼります。しかし、リサイクルコンクリートの原材料は「コンクリートがれき」と「廃木材」のみ。では、どうやって作るのか。使うのは小型の装置で、コンクリートがれきと廃木材を粉末にして混ぜたものを、その機械で熱を加えながら圧力をかけ、5分ほどおけば完成。その様子に田中は「もう完成ですか?」とビックリ。そして、できたばかりのコンクリートを触ってみると「しっかり固まっていますね。さっきまで粉末だったのに」と田中は目を丸くします。その強度を測ってみると、曲げ強度は20MPa。これは既存のコンクリートの約4倍です。酒井准教授は「木材にリグニンという成分が入っており、接着剤の代わりをしているので、セメントなどの新しい材料は必要ない」とリサイクルコンクリートの仕組みを解説します。◆原材料は野菜…食べられるコンクリートさらに、この研究室では意外な素材を建設材料にしています。廃棄される野菜や果物の皮などを使い、建材としても使える新たな素材を開発。野菜から頑丈なコンクリートを作る秘密について酒井准教授は「野菜に含まれる糖分と食物繊維にあると考えている」と言います。詳しいメカニズムは現在研究中だそうですが、野菜に熱を加えて圧縮すると中の糖分が溶け、それが食物繊維の隙間に入り込み、強くなると考えられているとか。原料によって強度は異なるものの、中にはコンクリートの4倍にもなるものもあるそう。しかも、材料は野菜100%とあって「食べることもできる」と酒井准教授。「例えば、避難所の一部をこの素材で作り、救援物資が届かないときにそれを食べるなどの使い方も考えている」と今後の展望を明かします。そして、最後にこの研究に至った理由について「コンクリートがなぜ硬くなるのか研究している際、木材を接着剤代わりにできないかと思いついた。コンクリートを含め、建設材料を作るには環境への影響があるので、我々の生活から出てくるゴミを使うことができれば、ゴミを減らしつつ自然も保護するということで一石二鳥になると思っている」と語っていました。一連の研究に、キャスターの堀潤は「素晴らしい研究!」と拍手で讃えます。同じ研究者である日大文理学部 助教の大澤正彦さんも「最高ですよね」と絶賛し、「コンクリートは環境に悪いという話は以前からあったが、それが今ひっくり返りつつある」と言います。というのも、今回の研究だけでなく、二酸化炭素を吸収して作るコンクリートの開発も進められているそうで「コンクリートを作ると二酸化炭素が増える時代から、コンクリートを作れば作るほど二酸化炭素が減る時代になりそう。(コンクリートは)激アツなんですよ」と熱弁します。スタジオには野菜で作ったコンクリートが用意され、みんな思い思いに触ったり、匂いを嗅いだりしていましたが、若干の匂いはするものの素材が何かまではわからないそう。既存のコンクリートに遜色ない強度、さらには食べられるという利点がある一方で、心配な点としては「水に濡れること」がありますが、木材と同じように防水処理をすれば屋外での使用も可能。また、野菜だけに虫などが寄ってくる可能性もありますが、それも材料にハーブや唐辛子など虫が苦手な食材を入れることで避けられるそうです。今後の課題としては、長期的な耐久性は今あるコンクリートに劣るため、今後の検証が必要ですが、酒井准教授は「リサイクル建材だけで家を1軒まるごと建てること」を目標に掲げていました。

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