国際ニュース:AFPBB News 「ウオーターキューブ」はいかにして「アイスキューブ」へと変貌したのか

【5月10日 People’s Daily】1つの競技会場では3種類の温度が同時に設定される。競技器材や選手の試合上必要な条件を満たし、同時に観客の観戦体験を満足させるにはどうすればいいのか?「ウオーターキューブ」の愛称で知られる中国国家水泳センターは、「同じ部屋で違った室温を実現する」科学技術を示した。

 4月1日から10日まで、冬季オリンピックに向けたリハーサルが行われたが、カーリングと車いすカーリングの競技は国家水泳センター「ウオーターキューブ」で行われた。世界初のスマート化技術を用いてプールをアイスリンクに変える技術を持った競技場となり、「ウオーターキューブ」から「アイスキューブ」に変身した同会場は、2022年北京冬季オリンピック・パラリンピックではカーリングと車いすカーリングの会場になる。

 北京国家水泳センターは世界で初めてプール上にカーリングリンクが設置され、水上競技および氷上競技の両方でオリンピック会場の役目を果たす画期的な体育館になった。

国際ニュース:AFPBB News 「ウオーターキューブ」はいかにして「アイスキューブ」へと変貌したのか

「ウオーターキューブ」が「アイスキューブ」への変貌を遂げるのは、地面に水をまいてスケートリンクを作るほど簡単ではない。中建一局建設発展有限会社の侯本才(Hou Bencai)副社長によれば、この転換には5工程が必要だという。まず水を抜き、フレームとバッキングプレートを建設し、保温層と防水層をその上に敷き、組み立て式の製氷システムを取り付け、冷媒を運んで水面を凍結させることでアイスリンクへの転換が完了する。改造の最大の難点はコントロールの精度にある。カーリングは競技上、非常に精密なリンク整備が必要であり、1平方メートルあたり150キロの重量がかかる場合でも基盤構造の変形は1ミリメートル以下に抑えなければならない。

 温度と湿度の複雑なコントロールを実現するのも、プールをアイスリンクへ変える上での難点だった。水上競技は高温多湿な環境が求められ、氷上競技は低温低湿度な環境が求められるため、両競技で必要な環境はかけ離れている。カーリング競技はリンクに対する要求がさらに厳しく、リンクの温度には3層でのコントロールが必須となる。氷の表面温度はマイナス8.5℃、氷面1.5メートル上方での温度は10℃を保持しなければならない。一方で観客席の温度は16~18℃が必要であり、冬季オリンピックにおいてはカーリング競技に完璧な環境を、観客に快適な環境を提供することが求められる。

 温度コントロールは主に4000以上のセンサーを用いたスマートコントロールシステムによって行われている。この「大脳」は会場内の温度・湿度・PM2.5濃度などのデータ変化を観測・コントロールし、室内の別々の場所で温度が変化した時は、コントロールシステムが館内のエアダクトを通じて温度を調節する。

 観客席の下方には直径1メートルの青く長い袋が会場に張り巡らされているが、これが除湿送風システムであり、観客席の下にも専門の送風装置が設置されている。「選手と観客席の送風は別々に処理されており、それぞれを単独でコントロールすることができます」と、同水泳センターバックヤードの楊奇勇(Yang Qiyong)副主任は語る。(c)People’s Daily/AFPBB News