<財政検証>総合運動公園のプール ろ過装置、一度も稼働せず 30年以上 500万円無駄に
一度も稼働していない屋外プール用のろ過装置=前橋市で
前橋市荒口町の前橋総合運動公園にあるプールで、水を浄化するために約500万円で設置した「ろ過装置」1機が開業以来30年以上にわたり一度も稼働せず、市の2020年度包括外部監査結果報告書が「無駄な設備投資」と指摘している実態が分かった。ろ過装置を使う見込みだった2期工事がなくなったため。市スポーツ課は「約500万円は大きな金額。今後は綿密に計画し、二度と起こさないようにしたい」と説明している。 (菅原洋) 同課などによると、プールは一九八九年に市直営で開業し、現在は市まちづくり公社に管理運営を委託。施設内に二十五メートルと幼児用の十五メートルのプール計二種類があり、二〇年度は延べ約一万五千人が利用した。 施設内の機械室では、二つの「屋内プール用」に、ろ過装置が一機稼働している。 問題のろ過装置は、これとは別の「屋外プール用」。機械室内にあり、高さ約二メートル、幅約一・五メートルで稼働中の一機より一回り小さい。開業当時、市は施設の南側に流れるプールを増設する二期工事を計画し、このプールの完成を見込んで設置したとみられる。 稼働していない一機は、水を循環させて一時間当たり約六十立方メートルをろ過する処理能力があるとされる。しかし、二期工事の計画が中止され、設置以来一度も稼働したことがないという。開業当時の費用を記した書類は保存期限を過ぎて市にはなく、同課が業者に確認すると、本体価格は五百万円程度と分かった。 稼働していない一機は給水管なども付設し、鉄製の装置を運搬して設置工事する費用を合わせると、本体価格に数十万円以上が加わった可能性が高い。 二期工事が中止になった経緯は、三十年以上前のため関係書類も保存しておらず、分からない。市は当時、市内にプールを相次いで建設してその中に別の流れるプールもあった。 稼働していない一機を、稼働中の一機の故障やメンテナンス時に有効活用することも模索したが、処理能力の違いなどからできないという。 報告書は「当初計画時の設定が甘い結果、無駄な設備投資が行われてしまった。今後の計画に当たってはより綿密な計画が望まれる」と指摘している。関連キーワード
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