ブルーのトライアルバイクで被災地に向かう「ブルトラ隊」 神奈川県横須賀市上下水道局・バイク部隊の実態とは?
横須賀市上下水道局の「ブルトラ隊」。写真は2004年10月の新潟中越地震で「ブルトラ隊」が現地に向かい調査をしている隊員たち(画像提供:横須賀市上下水道局)
日本は地震大国だ。世界で発生しているマグニチュード6以上の地震の約20%が日本で起こっている。そのため、各地で地震による家の倒壊、道路の崩壊などが時折起こっているわけだが、実際に大地震が起きたら水や食料が確保できない状況が想定される。【画像7点】ブルトラ隊が使うのはフランス製の超軽量オフロードバイク「スコルパ」!消防隊員や自衛隊員たちは一刻も早く現地に向かおうとするが、崩壊した道路や瓦礫が立ち塞がったり、電話やインターネットなど連絡手段が取れない可能性もあるため、救助活動に遅れが生じるはずだ。そういった場面で活躍するのがバイク隊だ。自衛隊の情報収集任務にあたる「第1偵察隊」は、道が整備されていない災害時でも現地に向かえるように、訓練されたバイク隊員たちで編成されている部隊があるのだが、緊急事態に活動するバイク隊は自衛隊以外にも存在する。たとえば、神奈川県横須賀市で活動している「災害二輪調査隊」、通称「ブルトラ隊」という隊員数18名で編成されているバイク隊がある。そこで当記事では、神奈川県横須賀市上下水道局の「ブルトラ隊」の活動内容やバイク隊を設立した理由など、話を伺うことにした。
1986年4月からバイク隊「ブルトラ隊」を設立
1986年3月、神奈川県の県央地区で起きた大雪による停電の影響で、横須賀市への送水が減少したことにより、大規模断水が発生した。その際、応急給水活動をするときに現場の情報収集・連絡を取るのが困難であったという教訓から1986年4月に神奈川県横須賀市で「ブルトラ隊」を設立することになった。「ブルトラ隊」とは、神奈川県横須賀市の上下水道局職員によって編成されているバイク部隊。山道や林道など悪路を走行できるトライアルバイクを使用し、地震災害などの緊急時には上下水道施設の被害調査や情報収集・連携を行っているのが主な活動だ。バイク隊員は災害時には情報収集を行うが、普段は職員たちもそれぞれの部署で通常業務をしている。また、被害を想定した調査ルートの走行、被害状況の調査方法の確認や慣熟走行など、月に1回程度の訓練を行って緊急時に備えているという。そんな「ブルトラ隊」に所属する隊員たちは、バイクの免許を持つ職員が指名されている。強制的に選ばれているわけではなく、バイク隊に所属したい職員を募って集められているのだ。以前は、定年退職となる60歳まで活動する隊員もいたそうだが、ベテラン隊員はバイクによる調査ではなく復旧作業が中心となるため、体力面を考えて現在は45歳までとしている。