「天穂のサクナヒメ」がアクションゲームとしてもすげー面白かったのでベタ褒めします あと飯がガチでうまそう:今日書きたいことはこれくらい
皆さん稲作してますか? 塩害大丈夫ですか?
自分があるゲームにハマっているかどうかの一つの基準として、「夜、寝る前に目を閉じたとき、そのゲームの画面が浮かんでくるかどうか」というものがあります。かつて、ぷよぷよの連鎖をまぶたの裏で7連鎖くらいまで組んだり、ダラ外で復活放題稼ぎの動きをひたすら脳内反復したり、Civ4の脳内カタパルトラッシュをしたりしたものですが、最近はまぶたの裏で田植えから脱穀くらいまではできるようになりました。
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ、三児の父。ダライアス外伝をこよなく愛する横シューターであり、今でも度々鯨ルートに挑んではシャコのばらまき弾にブチ切れている。好きなイーアルカンフーの敵キャラはタオ。
Twitter:@shinzaki
稲作超楽しいですよね。自分が農耕民族だったということを強く実感します。米の収量が増えていくことの原初的な喜びよ。
この記事の目的ですが、「天穂のサクナヒメ」をいざ遊んでみたら大変に面白く、「これは推せる……!!」と思ったので、自分が感じた面白ポイントについてベタ褒め基調で書いてみようと思う次第です。
稲作がガチだということについては色んな人が既に言われているので、どちらかというとアクション部分、ついでに食事関連の要素について私観を書こうと考えております。ストーリー的なネタバレは避けますが、序盤の展開については多少書かないといろいろ説明できませんのでご容赦を。
例によって私が勝手なわがままで「サクナヒメについて書きたいです!!」って言ったら「いいよ」って言っていただいて書いているだけで、依頼を受けてのPR記事とかではないです。ご了承ください。
さて。「天穂のサクナヒメ」はどんなゲームなのかというと、一言でいえば「稲作をすることでパワーアップしながら周囲を探索して、敵を倒していくワイヤーアクション+稲作シミュレーション」です。サクナヒメは豊穣神の血を引いたれっきとした神様なんですが、基本的にはポンコツ駄女神でして、のじゃのじゃ言いながら神様の都で大トラブルを発生させて、罰として鬼が支配するヒノエ島を開拓することになります。基本的に自業自得です。
この「開拓」パートでの稲作があまりにもガチすぎるという点についてはお聞き及びの方も多いのではないかと思いまして、本当に種もみの選別から苗の育成、田植えから水量の調整から肥料の管理から稲刈り・脱穀まで、何から何までやることになりまして本当ものすごいのですが。
その一方、サクナヒメは武神の血も引いており、自分の力で鬼退治もすることになります。農耕具をぶんぶん振り回し、兎や雀や豚やイノシシの姿をしたヒノエ島の鬼たちを、バシバシぶっ叩いたりぶっ飛ばしたり岩をぶつけたりして退治するわけです。稲作パートがガチな一方、こちらのアクションパートも相当なガチです。
まずはこの「アクションゲームとしてのサクナヒメ」について解説してみます。
アクションパートでのサクナヒメは、基本的にはオーソドックスな横スクロールジャンプアクションです。プレイヤーはサクナヒメを操って、ヒノエ島のフィールドを走り回ります。
このときサクナヒメは、「羽衣」を使ってワイヤーアクションをします。そう、トップシークレットや海腹川背やらスパイダーマンやらでわれわれを魅了した、あのワイヤーアクションです。女の子がワイヤーアクションするゲームで面白くないゲームってないよな!!! マジカルポップンとか!!
操作感は極めてシンプル。主要な動作はジャンプ・弱攻撃・強攻撃・武技(いわゆる必殺技)・羽衣射出くらいでして、これらの組み合わせでプレイヤーは縦横無尽にサクナヒメを操り、鬼たちにコンボをぶち込みまくることができます。
私、アクションゲームの話をするときに、「爽快感と達成感のバランス」と「学習曲線」の話をすることが多いです。単に私が面白さを感じるツボがこの2点にあるって話なんですが。
まず一つ目、爽快感と達成感なんですが、これ要するに「キャラクターを操作しているときの気持ち良さ」と「うまくなった/目標を達成できたときの気持ち良さ」という話です。
敵をばしーんと殴りつけて、爽快な音やエフェクトと一緒にやっつける。気持ちいい。
キャラクターを華麗に動かして、しゅぱしゅぱっと敵の攻撃をさばき、強力なボスを体力ギリギリで倒し切る。めちゃ気持ちいい。
簡単すぎると達成感が損なわれてしまうし、難しすぎると爽快感が損なわれてしまう。この2つの「気持ち良さ」のバランスが優れたゲームは大筋楽しいし、私のツボに刺さることが多い、ということなんですね。
まずこの爽快感/達成感という2軸が「サクナヒメ」においてどんなあんばいなのかという話ですが、一言でいうと非常に良質です。
ちょっと、こちらの動画を見ていただきたいんですが。
これ、まだ割とゲームの序盤なんですが、敵を吹っ飛ばしてどかーーーんとまとめて倒せている上に、なんとなくスタイリッシュな動きもできている、ということを見て取っていただけるのではないかと思います。まあ、どれだけスタイリッシュに見えるかは個人差があるかと思いますが、アクションゲームへたっぴーな私基準ではかなりスタイリッシュです。
サクナヒメにおけるアクションは、いくつかの要素によって、極めて良質な「爽快感」と「達成感」を提供してくれています。
まず1つ目、「吹き飛ばしと衝突」。上の動画でもある通り、一部の武技を使うことで相手を吹っ飛ばすことができるんですが、これをまた別の敵にぶつけることでまとめてダメージを与えることができます。雑魚敵がたくさん出てきたところで端の1匹を吹っ飛ばしてきもちよーーく一掃することもできるし、強力な敵に対して間合いを離して立ち回りながら、遠くから雑魚敵をぶつけていってダメージを稼ぐ、という使い方もできます。
2つ目、「連続技」。このゲーム、技から技につないでいくルートが非常に豊富でして、最初のうちは攻撃ボタンを連打しているだけでも手軽にコンボを叩き込んでいくことができますし、慣れてくると羽衣も絡めて空中連続技をどんどんつないでいくことができます。ばしばしばしーっとブッ叩いてから羽衣を巻き付けてさらに引っ張り上げて華麗にコンボ継続、なんてできたら爽快感マックスです。
これについては1つ動画を紹介させてください。自分で撮ろうと思ったんですが、まだ私ここまで上手につなげないんで……。
3つ目、羽衣によるワイヤーアクション。ワイヤーアクションゲーの例にもれず、本作のワイヤーアクションもひっじょーーに柔軟でして、ワイヤーの使い道が無数にあります。自分の位置を変えて相手の攻撃を避けるだけではなく、遠隔から攻撃してくる相手に瞬時に近づいて攻撃したり、逆に敵を引っ張り込んだり、空中攻撃から相手を拘束してさらに前述の空中コンボをつなげたり。「うまくなった感」においてワイヤーアクションが占める位置は極めて高いです。
4つ目、はじき。相手の攻撃に合わせてレバーを入力することで、「あまいっ!」とか言いながら相手の攻撃をはじくことができ、一定時間相手が弱体化します。敵の攻撃は結構激しいので、これを狙ってできるようになると味わえる「うまくなった感」がワンランク上がります。
上記のような要素が非常にうまい具合に絡み合っていまして、ただ「動かしていて気持ちいい」という爽快感軸のみならず、「使えるテクニックが増えるごとにどんどんうまくなったような気分になれる」という達成感軸でも極めて大きなカタルシスをプレイヤーに提供してくれます。これについては、「やればやるほど気持ちいいアクションゲーム」と言ってしまっていいでしょう。やはりワイヤーアクションは正義……!! 大正義……!!!
とはいえ、そんなに手軽に爽快感が味わえますのん? という問題はもちろんあります。いくらアクションが気持ち良くても、気持ち良さを味わえるまでの道のりがあまりに長かったら、楽しめる人はかなり限定されてしまいますよね?
そこで「学習曲線」の話が出てきます。
大筋、どんなゲームでも「うまくなっていく過程」「プレイに習熟していく過程」というものはあるのですが、それがどの程度スムーズなのか、という度合いにはゲームによってかなり開きがあります。操作系統がシンプルで、それほど苦労せずに一通り動かせるようになるゲームもあれば、ある程度根性入れて練習しないと一定レベルにたどり着けないゲームも、まともに遊べるようになるまで並々ならぬ労苦を必要とするゲームもあります。
私が考える限り、「学習曲線が優れているゲーム」というのは、「自然に遊んでいると、必要になるころに勝手に必要なテクニックが身についている」ゲームです。そんなに頑張らなくてもいつの間にかうまくなっている。けれど、簡単なばかりではなく、「うまくなった」という達成感はちゃんとある。
サクナヒメはその辺どうなのか? というと、「マジで良質」です。
1つはサクナヒメ、「敵の強くなるスピード」「敵や地形配置のエグくなるスピード」がすごく適切なんですね。
最初のうちは兎鬼がまばらに出てくるだけで、それこそ攻撃ボタンを連打しているだけで適当に進める。しかもそこでちゃんとコンボは発生するので、「連続技ってなんか気持ちいいな」という感覚が身につく。
次に、吹き飛ばしを含めた幾つかの武技を覚えたころ、ちょうどよく「雑魚がたくさん連なっている」という配置が出はじめる。ここで吹っ飛ばし・衝突の重要さとその気持ち良さを学習できる。
やがて、「ワイヤーアクションを使わないとスムーズに進めない」という地形が出てきて、ワイヤーアクションの使い方が身についてきたころ、遠隔攻撃やら雀やら、ワイヤーアクションを絡めて戦うと楽に処理できる敵が出てくる。
ある程度自由に動かせるようになったころ、「ただ攻撃しているだけ」だと厳しい敵配置になってきて、はじきと羽衣弱体化の重要さが自然と分かってくる。
事程左様に、「ゲームを進めていると、そのテクニックが必要になってくるころに、自然とそのテクニックが身についている」というように工夫されているんです。このバランシング、本当すばらしいと思うんですよ。
「動かしているだけで気持ちいい」「うまくなってくるともっと気持ちいい」「ゲームをプレイしていくと自然とうまくなる」。この良循環、アクションゲームとしてかなり理想的だと思います。ただ稲作ゲーというだけではなく、「横スクロールジャンプアクション」が好きな人にも、十分にサクナヒメはおすすめできる、と考えるゆえんです。
サクナヒメが「米がたくさん獲れると強くなる」という女神様である関係上、アクションが難しければ稲作に打ち込んでれば勝手に楽になっていくので、「詰まる」ということがほぼない、アクションゲーム苦手な人にも優しい作りです。
「レベルを上げて物理で殴れ」ならぬ、「収穫量を上げて農耕具で殴れ」がサクナヒメの神髄です。
上記のように、アクションについての不満点は数少ないのですが、公平を期するために2点だけ、私がちょっと気になったところを指摘しておくとすれば、
という点だけはちょっと気になったところです。
1つは、特に中盤あたりで、一時的に似たような敵の出現パターンが繰り返されるように思った部分があるところ。具体的に言うと猪と鹿と雉のトリオ出すぎやろ、みたいな。
もう1つは、ずっと継続して走り続けることはできないので、移動速度にやや物足りないタイミングがあること。まあこれは、高速移動技の「飛燕」を覚えればかなり改善されるんですが。
この2点だけ除けばアクションゲームとしてかなり個人的な理想に近いんで、アップデートとかで改善されるといいなあと考える次第です。
ところでサクナヒメは飯ゲーです。ここでいう飯ゲーというのは、「食事をする」ということについて強烈な重みづけが行われており、「飯」がプレイヤーの意識の中で大きな位置を占めるゲーム、の意味です。ご飯食べるシーンがおいしそうなゲームって大体名作ですよね。ダウンタウン熱血物語とかダンジョンマスターとかドラゴンズクラウンとか。
で、サクナヒメは開拓地である「峠」において、何人かの人間たちと一緒に暮らしているわけなんですが、
このとき、まず第一に「飯食ってる光景がマジでうまそう」なんですよ。左上に献立が表示されて、みんなでわいわい団らんしながら箸を動かす。特に、稲作シミュレーションの関係上「野良仕事で目いっぱい働いた後」という感覚が非常に強いので、体感できる「飯のうまさ」もひとしおなわけです。田起こしの後の夕餉、マジで画面見てるだけでうまい。
ただこれもですね、決して最初からそんなに豊富な夕飯を用意できるわけではなく。
手元にある食材から、そのとき選択できるメニューをミルテに作ってもらえるんですが、最初のうちはマジで選択肢がほとんどないんですよ。ホント、常時選択できるメニューが「水」しかない。存在しない。他はとにかく、麦だの粟だの兎肉だの、外に出ていって狩りやら採集やらしないといけないわけです。
特に最初のうち、この「選択できる献立がマジで貧弱」というのが本当に「ああ、昔の寒村ってきっとこんな感じだったんだろうな……」という感覚がものすごくって、「こいつらを何とか食わせなくては……!!」っていう使命感がめちゃくちゃ出てくるんですよ。「あ、今ちょっと肉に偏ってるから野菜も用意しないとな……」とか「今日は雉肉が取れた、皆の物ごちそうじゃー!!」みたいな、本当そういう「こいつらにうまいものを食べさせたい」っていう感覚になる。
献立自体もマジで種類豊富でして、食材を使って加工品を作ったり、食材を組み合わせて今までなかったメニューを選択できるようになったりもします。いい飯を食べるとサクナヒメ自身もパワーアップしたり、空腹になるど体力が回復しなくなったりするので、ゲーム攻略上も夕飯は重要なんですが、とにかく「おいしい物作って食べさせたい」欲がすごい。あとみそとしょうゆの偉大さがマジでよく分かる。
米が豊富に獲れるようになってくると、「ああ、これでこいつらを飢えさせないで済む……」という安心感が非常に強く、まるで苦労に苦労を重ねてやっと貧困から抜け出せた元寒村のような気分が味わえるので、これはぜひ飽食の時代の皆さまにも体感していただきたいと考える次第なのです。
これらの要素も合わさって、またこの収穫時のグラフィックが本当に感慨深いものになるんですよね。ああ、米に困らないのって素晴らしい……。
ということで、主に「アクションゲームとしてのサクナヒメ」と「飯ゲーとしてのサクナヒメ」について書いてまいりました。もちろん、「稲作ゲーとしてのサクナヒメ」は言うに及ばず、「動物ゲーとしてのサクナヒメ」とか「採集ゲーとしてのサクナヒメ」「ヤンデレゲーとしてのサクナヒメ」などいろいろなサクナヒメの面白さがありますので、まだ未体験の方はぜひついうっかりぽちっていただきたい、と考えること大なわけです。
最後に私が書きたかったことを簡単にまとめてみます。
大体そんな感じです。よろしくお願いします。
今日書きたいことはこれくらいです。