「ルンバJ7+」レビュー:完璧なリスク回避能力。「うちはルンバ向きではない」の言い訳はもうできない
ロボット掃除機、欲しいけど家は散らかってるしなぁ…。
と、便利なのはわかっていつつも、稼働させるには「床の障害物を取り除く」といった基本的な片付けも必要。これがロボット掃除機を走らせる最低限の条件であり、乗り越えるのが面倒なハードルとなっています。
この最低限のハードルを下げてきたのが、ルンバの最新モデル「ルンバ J7」とクリーンベース付きの「ルンバJ7+」。
高い走破製とマッピング能力に加え、新たに物体認識能力が与えられ、コード、靴下をはじめ、ペットの落とし物(早い話うんこ)などを回避するという新世代のルンバなのです。
今回は、このお利口なルンバと1ヶ月以上一緒に過ぎしてきたレビューをお届けしますね。これまでルンバを諦めていた家庭にも響く1台であることは間違いなさそうです。
ルンバ J7+
これは何?:賢くて成長するルンバ
価格:12万9800円 もしくは月額3,980円
いいところ:完璧なリスク回避力と手間のかからなさ
残念なところ:片付けはやっぱりしたほうがいいね!
Q.うんこは踏まない?→ A.うんこは踏まない。
まず皆さんが気になっているであろうポイントが「うんこをちゃんと回避するの?」ってところ。
このペットのうんこ踏んじゃった問題は、ロボット掃除機オーナーの悩みのひとつであるようで、アイロボットのラボでは、さまざまな形状のうんこのデータを集めて分析。疑似うんこをつかってアルゴリズムを学習。文字通りクソ真面目に研究した成果がこのJ7シリーズに詰まっています。さぁ、行ってもらいましょう!
安心してください、かりんとうです。
遠目で見ると猫の…。に見えなくもないかりんとうですが、何度試しても見えないバリアがあるかのように避けていました。
また、他の障害物に比べるとかなりの距離を置いて回避していたので、「これは危険なものだ!」というのもちゃんと理解できているようです。君子危うきに近寄らず、ルンバうんこに近寄らず。
では、なぜルンバはうんこを回避できるようになったのか?
その答えが目の位置にあります。これまでのマッピング対応ルンバは、カメラを斜め上に向けていました。目的は部屋の形状や家具などをビジュアルとして認識してマッピングする(VSLAM)ため。それは、あくまでもそれは空間認識のためのカメラでした。
一方で、J7シリーズのカメラは正面に移動、過去モデルよりも広角に映像を捉えられるように進化しています。これによって、部屋の形状だけでなく、進行方向先にある物体も認識できるようになったんですね。
障害物を回避してくれるし学習もしてくれる、進化するルンバ
この「目」による回避能力は、驚きと未来への期待感を与えてくれました。
アイロボットの発表によると、現時点で認識できるものは、原稿執筆時点では「ペットの排せつ物」「コード類」「スリッパ」「靴下」「靴」。
床にコードや靴類が脱ぎ捨てられている欧米的な生活スタイルじゃないと恩恵はないのかな? なんて思っていたのですが、我が家のリビングを見渡してみたら、2才児の靴下がナチュラルに脱ぎ捨てられていて、こういうことか…と深く納得。
そして稼働させた後にアプリを確認してみると、「おやぶん!こんなの見つけましたよ!」とばかりに、冒険の道中で見かけた障害物らしきモノを画像つきでバンバン報告してきます。もちろん、ちゃんと回避済み。やるじゃん!
認識できるとされる5種類以外も回避できています。
たとえば、これまでのルンバだと突っ込んで動かしまくっていたミニカーのオモチャや、ぬいぐるみなども「障害物」として、ある程度距離を置いて掃除してくれています。ルンバを動かすとなんかモノが動いている…といった類のオカルトは起こらなくなりました。
アプリのレポートからは、掃除中に避けたものは「一時的な障害物」なのか、永続的な障害物として「進入禁止エリア」を設定するか、単なる誤認で「障害物は無い」のか。といったルンバへのアクションを指定でき、匿名でアイロボットのデータベースへと送信できます。
つまりこのルンバは「学習」して賢くなっていくんです。
この学習結果がすぐにルンバに反映されるわけではなく、定期的なアップデートで対応力や認識できるものが増えていくとのことですが、自分や誰かが行った学習が世界中のルンバに共有されて、世界中のルンバがちょっとずつ賢くなっていく…。僕はここにちょっとしたエモさ感じますし、「全部が一人で一人はすべて」というロビタ(火の鳥 復活篇)のようなSFじみた恐ろしさや、まるで育成ゲームのようなワクワク感すら覚えているのです。
回避するルンバのメリットとデメリット
この高い認識・回避力のおかげで、ロボット掃除機の利用シーンにちょっと変化が訪れました。簡単にいうと「雑」になりました。
ロボット掃除機の稼働前になぜ片付けが必要かというと、変のものに絡まったり押しやったりで、エラー吐いて息絶えている…。といったトラブルを防ぐため。でも、障害物を認識して避けてくれるJ7シリーズの場合は、このフローをある程度スキップできます。
僕、J7+を迎えてから、しばらくはいつもの癖で掃除前は床を整理して、子供のオモチャも全部しまってからスタートしていたんですけど、最近は…
「完璧じゃなくてもいいか! 行って来い!」
「とりあえず端に寄せときゃ走れるところだけキレイにしてくれるだろ」
とかいう、投げやりな感じで掃除をスタートすることもあります。
それでもホント止まらずに、掃除できるところを掃除してベースに戻ってきてくれるお利口さんなので、平均的にキレイになっていればいい。とか、片付けがニガテな人はこのモデルを選んだ方が幸せになれますね。
さらに「J7+」はクリーンベース付きなので、ゴミを自動で収集してくれます。そのため、掃除前だけでなく掃除後もルンバの面倒を見なきゃ!という概念が無くなります。
スケジュールを設定しておけば、本当に1ヶ月くらいはノータッチでOK。ルンバは時間になれば、掃除できるとこは掃除してくれて、掃除が終わったらゴミ捨てまでやり遂げてくれます。掃除の自動化とはこういうことか!とちょっと感動しますよ。価格は高いけど、クリーンベース付きの「J7+」を選んだ方が満足度は高いと思いますよ。
一方でデメリットは、期待しすぎはダメだってこと。
床にものが散らかっていると回避しながらの掃除が増えるので、掃除できる面積は狭くなり、伸び伸びと走れなくなるため掃除時間も伸びます。
めくれ上がったカーペットを障害物と誤認したり、押しやっても危険性のないモノも律儀に回避する慎重派なので、マップを見返してみると「あー。ここ掃除してくれなかったかー…」という部分も見かけますね。環境によっては毎回掃除されない場所も生まれてしまうでしょう。この辺りは、昔のルンバのほうがイケイケでガンガン突っ込んでくれてたので、一長一短。
総じて、ちゃんと片付けてからスタートした方が部屋のクリーンレベルは上がるので(当然ですね)、「片付けが無くなる!」なんてのはまだファンタジー。「片付けなくても使える」と「片付ける必要なくなる」はイコールに結びつかないのでここは注意ですね。
ロボット掃除機を諦めていた人は、もう一度考えてみて欲しい
僕、ロボット掃除機が好き過ぎて、家に5台くらい飼っているんです。
過去には障害物を回避すると言われるロボット掃除機も試したこともあるので、モノを避けるロボット掃除機はこのルンバJ7シリーズが初めてではありません。その上で忖度なしに言いますが、ルンバJ7シリーズの回避力はダントツでした。
ある程度、失敗するでしょ?とか斜に構えていたんですけど、何度試しても靴下やコードには近寄らないし、床に放置されたおもちゃもちゃんと避けて掃除を終わらせてくれます。
回避力を得た最初の市販モデルながら、すでに自分の生活や暮らし方を変えずに、床掃除を任せられるレベルの性能になっているので、「うちはルンバ向きではない」という諦めの言葉を漏らす前に、一度サブスクリプションのお試し(2週間のおためしコースなら1,980円です)してみることをおすすめします。
1.オモチャがいつの間にか散らばっている子育て世代
2.生活エリアだけキレイにしてもらえればいいやという効率派
3.粗相のリスクを抱えたペットオーナー
が、選ぶべきロボット掃除機が決定したといえるルンバです。
Source: アイロボット