iPhoneからBluetoothで聴くと音質はどう変わる? 波形で比較した
Bluetoothのオーディオ伝送には、いくつかのコーデックが存在する。従来一般的だったSBCから、最近はAACやaptXというものが主流になったため、以前のBluetoothヘッドフォンに比べ、音質が向上するとともに、レイテンシーも小さくなっているのだ。さらにaptXの上を行くaptX HDというものが登場したり、ソニーの場合、より高音質な独自コーデックのLDACを各製品に搭載するなど、高音質化が進んでいることは、多くのヘッドフォンユーザーにとっては周知の事実だろう。
でも、実際のところ有線のヘッドフォン・イヤフォンとどのくらい違うのかというと、あまりよくわからないし、情報も少ないようだ。そこで、その違いをハッキリさせるための実験をしてみようと思い立ったのだ。
考え方としてはこうだ。まずWAVファイルを再生して、Bluetoothで飛ばす。飛んできたBluetoothのオーディオデータを正確にキャプチャし、それを元のWAVファイルと比較する。この際、差分をとったり、周波数解析して比較してみれば違いが明らかになるという算段だ。
問題は、どうやってBluetoothのオーディオデータを正確にキャプチャするかである。これをBluetoothイヤフォンやBluetoothヘッドフォンで受信したのでは、うまくいくわけがないので、Bluetoothレシーバを利用してキャプチャしたい。Bluetoothレシーバの中にはアナログ出力だけでなく、S/PDIFのデジタル出力を備えたものがあるので、これを使えば、正確にキャプチャできるだろうと探してみた。せっかくならAACとaptXに対応したBluetooth 4.x対応のレシーバがいいと検索してみたものの、それに該当する製品を見つけられなかった。その代わり、ちょっと古い製品だがBluetooth 3.0対応で、AACおよびaptXに対応し、かつS/PDIF出力を持つレシーバとしてエレコムの「LBT-AVWAR700」というものが見つかった。
エレコムのBluetoothレシーバ「LBT-AVWAR700」Bluetooth 3.0はBluetooth 4.xと比較して電力使用量は大きいが、ファイル転送速度はさらに速いし、ここでの目的はAACとaptXでの音質をチェックするものなので、実験機材としては問題なさそうということで、これをネット通販で購入して使ってみることにしたのだ。
翌日、製品が手元に届いたので、とりあえずiPhone Xと接続してみたところ、問題なく使うことが確認できた。この光デジタル出力をPCに取り込もうと思ったら、接続可能なオーディオインターフェイスがないことに気づいた。以前は多くのオーディオインターフェイスに標準装備されていたS/PDIFが最近なくなってきており、普段使っているオーディオインターフェイスでは対応していなかったのだ。
iPhone XとBluetooth接続仕方ないので、倉庫から古いオーディオインターフェイスをいくつか引っ張り出してきて試してみた。が、安いオーディオインターフェイスの場合、サンプリングレートコンバータなどが入っていて、正確なキャプチャができない。そこで、以前よく使っていたローランドのUA-101で試してみたところ、44.1kHzでガッチリとロックがかかるかたちで正確な取り込みができることが確認できたので、これを使ってみた。