神山監督「ドローンの普及は予想できなかった」攻殻機動隊の世界を上回るテクノロジーの進化を語る

車の自動運転化により、所有やデザイン性の概念が変化する

モデレーター:まあ、次のテーマにいきましょうか。ちょうど今、車とかいうところで、いい感じに3番目のセッションになったんですけど、セクション3は、こちらをテーマにしたいと考えております。

モデレーター:じゃん! ということで、スマートシティーでございます。こちらもまずは『攻殻機動隊 S.A.C.』のほうからビデオを観ていただきたいと思います。

(映像が流れる)

神山健治氏(以下、神山):今の映像、携帯ですね。スマホになってないですね(笑)。車も自分で運転していますよね。

冲方丁氏(以下、冲方):舞台は日本だけど、まだガラケーを作ってるところがあるんですね(笑)。

神山:そうですね。自動車に関しては、当時、意図的に、ガソリン車が残っているだろうというかですね……。

モデレーター:なるほど。

神山:未来との差異を出すために、ネットとつながっている部分と、運転者が自らネットとつながらない限りは自動運転にならないという形で描いていたんですけど、ここは。想像よりはるかに速いスピードで進化が始まっていますよね。

神山監督「ドローンの普及は予想できなかった」攻殻機動隊の世界を上回るテクノロジーの進化を語る

そうすると今度は、今、自動車は所有する価値観でデザインも含めて作られていると思うんですけど、もし自動運転が進んでくると、今度は、所有する理由が無くなってくる可能性があるんですよね。

モデレーター:なるほど。

神山:すると、街のデザイン自体が変わってくる。今、都会ではすごく駐車場が増えているじゃないですか。正確な数字はわからないですけど、今、実際生産されて販売された車の多分60%位は稼動していないんですよね。

モデレーター:駐車場で眠っているんですね。

神山:すごくもったいない状況で。それが、80%以上の車が稼動しているという状況を作るためには、共有者にしないといけなくなってくるんだと思うんですよ。これ(この車)は僕の! というのが、もし持っていたとしても僕が乗っていない時もレンタルしてしまっているというか。

そうすると、すごくラグジュアリーでコンフォータブルな自動車が要らなくなってしまうというか。自分のためにいいシートで乗りたいのに、人に貸してしまうものをそういう自動車にするだろうか? という問題が出てくるとか。

土地の利用の仕方とかも含めて、すごくインフラ自体がダイナミックに本来は変わってしまうんじゃないかなぁというのが、攻殻を作っていた時と、今振り返ってみた時に僕はすごく感じる部分なんですよね。

モデレーター:カーシェアリングみたいな形で、そういうサービスもありますけど。

南澤:高速道路なんかはもう、結構早いペースで、実際に半自動運転ができるようにしようと。2020年までにある程度できるようにしようという動きもあるようですし。

そのあたりは、結構現実になってくるのかなぁと思うんですけど。一方で、本当に義体化していったときに、自分の物理的な義体を本当に物理的に動かす必要は、どこまであるんだろうって。

モデレーター:なるほど。

神山:車に乗る必要があるかってことでしょうね。リスクですからね、移動は。