EUで「オールA」評価 知る人ぞ知るドイツ製掃除機

ここ数年、日本の掃除機のトレンドは、コードレスや軽量コンパクトといった「使いやすさ」を重視した製品だ。しかし、このトレンドに真っ向から立ち向かう掃除機が2017年5月11日より発売になった。それが、ドイツ、フォアベルク社のホームケアシステム「コーボルト VK200」(以下、VK200)だ。

VK200だけでは使用できず、床用ヘッドなどのアタッチメントの別途購入が必要。写真はカーペット、ハードフロア両用のアタッチメントEB400との組み合わせ。EB400の価格は6万7000円

フォアベルクは、欧州では1930年から電気掃除機を製造販売している老舗掃除機メーカー。日本には30年前から上陸しているが、当初は訪問販売を主とした販売形態だったために、日本での認知度はあまり高くない。2013年に正規販売代理店コーボルトジャパンを設立し、現在は一部量販店やデパート、オンラインでの販売をしているほか、東京や福岡にショールームがある。

VK200(アタッチメントにEB400使用時)の「エネルギーラベル」。省エネ性、年間消費エネルギー量、騒音値、ホコリの排出量、集塵力すべての項目が最高レベルのAを獲得

ただし、認知度はいまひとつながら、日本でも従来からフォアベルク製品は集塵性の高さや性能の高さ、耐久性に定評がある。基本的なセットでも10万円近く、フルセットなら30万円近くと掃除機としては高価格なのだが、同社製品は日本の一部のユーザーから根強い人気がある。

ちなみに、EUでは2014年から掃除機に「エネルギーラベル」と呼ばれる性能表示制度を導入した。今回発売されたVK200(アタッチメントにEB400使用時)は、このエネルギーラベルにおいて省エネ性、年間消費エネルギー量、騒音値、ホコリの排出量、集塵力のすべての項目で最高ランクの「A」評価を獲得。コーボルトジャパンのアントン・ヤッチ社長によると、日本よりも厳しい基準を持つEUにおいて、全項目がA評価を達成する製品は少ないという。

この徹底した環境対策によって、ハウスダストによるアレルギー改善を求める家庭や、小さな子供がいる家庭など、より清潔な環境に敏感な家庭にとっては「知る人ぞ知る」ブランドなのだ。

さらに、同社製品は耐久性の高さも知られている。アントン・ヤッチ社長によると、本国ドイツでは18年前に製造中止した製品をいまだ使い続けているユーザーも多いという。また、同社の「長く使い続けられる製品を作る」という理念による、アタッチメントの互換性の高さも魅力。新しく開発されたアタッチメントを旧製品にセットすることで、本体を買い換えることなくより清掃性をアップさせることが可能なのだそうだ。

ハウスダストの除去に最適

エネルギーラベルでA評価の集塵力を持つだけでなく、専用フィルターは吸い込んだアレルゲンを99.99%保持して外に逃がさない構造を採用。このため、本製品はドイツの技術検査機関TUVから世界で初めて「アレルギー患者推奨」と認定されている。また、豊富に用意されたアタッチメントにより、床だけでなく、人の肌が触れるソファやベッドのマットレスなどのあらゆる場所もケアが可能。日本では、「ハウスダスト対策に敏感な家庭」をターゲットに訴求していくという。

どんなシチュエーションにも対応

今回発売されるVK200の基本セットは、日本では珍しいアップライト式だ。アップライト式とは、縦型の本体に直接ヘッドが搭載されるタイプの掃除機。本体とヘッドの間にホースがないので吸い込み効率が良く、本体の重さが直接ヘッドにかかるのでじゅうたんなどの掃除にも力を発揮しやすい。

床用ヘッドと組み合わせたVK200

EUで「オールA」評価 知る人ぞ知るドイツ製掃除機

ゴミの収集方法はフィルター式。専用の3層フィルター「3-in-1フィルターバッグFP200」を使用する。フィルターは6枚入りで4000円と一般的な国産掃除機の紙パックより高いが、フィルターサイズが大きいため約3~4カ月は交換が必要ないという。また、フィルター装着口の穴は掃除機にセットして通電しないと開かないため、フィルターを捨てるときにホコリやゴミの飛び散りがないのも特徴だ。

専用の3層不織布フィルターでゴミを収集

VK200のもうひとつの特徴が、先ほども述べたアタッチメントの多さだ。本体以外のアタッチメントはすべて別売り。床用ヘッドはフローリングやタイルなどのハードフロア用のHD60、水拭きもできるSP530、そして、カーペットとハードフロア両方に対応したEB400の3種類から選択できる。そのほか、すきまノズルやソフトノズル、ソファーや車内などの布製品掃除に力を発揮するモーター内蔵ブラシなど10製品以上のアタッチメントがある。アタッチメントのなかには、洗剤をベッドのマットレスに擦り込むという特殊なものもあり、「本製品は『掃除機』ではなく『ホームケアシステム』になる」と、アントン・ヤッチ社長は説明する。

延長パイプとソフトノズルの組み合わせなら、天井などの高い位置の掃除も簡単にできる。エアコンのフィルター掃除などに活躍するゴミ吸引以外の用途に使用するアタッチメント。写真はヘッドが回転することで、マットレスに洗剤を擦り込むためのアタッチメント

床材に合わせて動作するEB400が便利

非常に多くのアタッチメントが用意されているVK200だが、同社は、床ヘッドにカーペットとハードフロア両方に対応したパワーノズル EB400(以下、EB400)を推奨。さらに、車内やソファなどの布製品などを掃除できるパワーホースとモーター搭載ブラシパワーボーイ PB440の3点を薦めている。

VK200本体にカーペットとハードフロアを掃除できる床用ヘッドEB400、パワーホース、パワーボーイ PB440の3つのアタッチメント。さらに、3-in-1フィルターバッグ1箱と専用芳香剤ドビーナが付属してセット価格で16万8000円

床用ヘッドのEB400は、運転モードを自動(auto)、ソフト(soft)、ミドル(med)、ストロング(max)の4段階で切り替えることが可能。自動モードはセンサーで床材を検知して最適なパワーでの掃除ができる。VK200は非常にパワーが強いため、カーペットでストロングを選択すると吸引力でヘッドが床に張り付き、ヘッドが動かしにくいほどのパワーがある。しかし、自動モードの場合はハードフロアでは強力な吸引力がアップ。カーペットでは吸引力を下げたうえで、ヘッドが床に密着する。

床材を検知し、自動的にパワーやブラシ位置が変化。ハードフロアでは線状のLEDが点灯する

同社が薦めるもうひとつのアタッチメントがパワーホースとパワーボーイ PB440(以下、PB440)の組み合わせだ。PB440は回転ブラシを搭載したハンディクリーナーのような外見のモーター搭載式アタッチメント。ヘッドには2本のブラシが配置されており、ブラシが互いに逆回転することで布製品などについたゴミをかき出して吸引する。また、ブラシ側面にあるスイッチでアタッチメントの先端にある小さな穴からゴミを吸引させることも可能。ソファーの溝など、細かな場所の掃除も可能だ。

延長ホースにPB440を組み合わせたセット。ハンディクリーナーのように使用できる

室内で靴を履かない日本にこそおすすめのSP530

さらに、アントン・ヤッチ社長によると、フローリングが多い家庭にお薦めの床ヘッドは、水拭きも可能なハードフロアクリーナー コーボルトSP530だという。SP530は専用の濡れ布巾をセットできる床用ヘッド。布巾部分が高速振動することで床の汚れを落としながら、同時に布巾の前後からゴミを吸引できる。

ゴミの吸引と水拭きが同時にできるハードフロアクリーナー コーボルトSP530を紹介する、コーボルトジャパンのアントン・ヤッチ社長

国内ブランドとはまったく違うアプローチ

VK200は国産掃除機とはまったく異なるアプローチの掃除機だ。国内ブランドの掃除機は吸引力だけではなく、コードレス化や軽量化、コンパクト化などの「使いやすさ」を重視している。しかし、VK200は純粋に清掃性の高さを追求。正直、掃除機本体は大きく重いうえ、コードなどの取り回しも決して良いとはいえないが、そのぶんゴミを吸引するパワーは非常に高い。

また、豊富な別売りアタッチメントの存在も面白い。国内ブランドの掃除機の場合は、アタッチメントが最初からすべて付属することが多いが、使わない付属品が収納場所を圧迫することもある。一方、コーボルトは必要なアタッチメントだけを選べるため、「使わないアタッチメント」はほぼない。しかも、床ヘッドだけで3種類という豊富な選択肢があり、より自分が掃除する環境に最適な掃除システムが選べる。

選択するアタッチメントによっては10万円を超える高価格製品だが、ハウスダストやアレルギー対策を本気で考える家庭への需要は大きそうだ。

(ライター 倉本春)

[日経トレンディネット 2017年5月17日付の記事を再構成]

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