ダイハツ「ロッキー」とトヨタ「ライズ」は何が新しくなったのか? 新1.2リッターエンジンやハイブリッドシステムなど開発者が解説

ハイブリッドシステムにはシンプルでコンパクトなシリーズ方式を採用

新ロッキー/ライズのパワートレーンは、1.0リッターターボに加え、1.2リッターハイブリッド、1.2リッター自然吸気を新たに採用することで、パワートレーンラインアップを3種類に強化。環境や燃費、先進感を求めるユーザーにはハイブリッドモデルを、街乗りが中心で価格を重視するユーザーには1.2リッター自然吸気を、走りにこだわり遠出やアウトドアを好むアクティブなユーザーには1.0リッターターボを、とユーザーそれぞれの使用用途に合わせてパワートレーンを選択できるようにした。

それぞれのエンジンスペックは、1.2リッター自然吸気エンジンが最高出力64kW(87PS)/6000rpm、最大トルク113Nm(11.5kgfm)/4500rpm。1.2リッターハイブリッド用エンジンが最高出力60kW(82PS)/5600rpm、最大トルク105Nm(10.7kgfm)/3200-5200rpm、モーターが最高出力78kW(106PS)/4372-6329rpm、最大トルク170Nm(17.3kgfm)/0-4372rpm。1.0リッターターボエンジンが最高出力72kW(98PS)/6000rpm、最大トルク140Nm(14.3kgfm)/2400-4000rpmとなる。

新ロッキー/ライズに搭載される3つのパワートレーン

ダイハツ「ロッキー」とトヨタ「ライズ」は何が新しくなったのか? 新1.2リッターエンジンやハイブリッドシステムなど開発者が解説

新開発のe-SMART HYBRIDは、電気の“e”に、賢い・機敏な、という意味の“SMART”を組み合わせ、電気の力でキビキビ走る良品廉価なハイブリッドを表現したとのこと。モーターの特性でもある低中速域に強みを持ち、低速・中速走行が多い街乗りが多く、車体が軽い小さなクルマに最適なシステムとして、エンジンを発電専用にし、100%モーターで走行するシリーズ方式を採用。エンジンを発電と走行の両方に使用するシリーズパラレル方式や、モーターをアシストとして使用するマイルドハイブリッドのようなパラレル方式とは異なり、シンプルでコンパクトな構造とした。

また、軽量につくられているダイハツ車であることと、ユーザー用途が街乗り中心となることから、モーターの出力をそこまで大きくする必要がなかったため、遊星ギヤなどの機構を用いるパラレルハイブリッドと比較すると、よりコンパクトになるのではないかということで、今回シリーズ方式のハイブリッドシステムを選択したとのこと。

なお、このe-SMART HYBRIDに対して、トヨタはモータージェネレーターや電池スタックなどを提供。PCU(パワーコントロールユニット)の基本骨格は同じとなるが、制御についてはシリーズ方式専用に開発を行なったとしている。

「e-SMART HYBRID」名称の由来3種類のハイブリッド方式のうち、エンジンは発電専用として100%モーターで走るシリーズ方式を採用シリーズ方式は、中低速の街乗りが多く車体が軽い小さなクルマに最適なシステムと考えている

エンジンは新開発の3気筒1.2リッターエンジンをハイブリッド用に最適化して搭載。最高熱効率は40%を確保し、燃費の向上に貢献。トランスアクスルは発電用と駆動用の2つのモーターを並列配置。構成ギヤ数を最小にすることで軽量かつコンパクトな設計とした。

バッテリはエネルギー密度が高いリチウムイオン電池を採用。容量は4.3Ahとコンパクトなサイズとし、街乗りの多いユーザーニーズに応えるべく、性能とコストをバランス。バッテリはリアシートクッション下に配置することで、ゆとりある室内と荷室容量を確保しつつハイブリッド化を実現した。

ハイブリッドシステムの配置イメージ発電専用に最適化した新開発の3気筒1.2リッターエンジン。発電に特化させることで最高熱効率40%を確保した2つのモータージェネレーターを並列配置にするとともに構成ギヤ数を最小にすることでコンパクト化を実現エネルギー密度が高いリチウムイオン電池の採用で軽量化に貢献。4.3Ahのコンパクトな容量で性能とコストをバランスさせた

仲保氏は「小さなクルマに適したシステムをさらに進化させ、今後速やかに軽自動車へも展開してまいります。100%モーター走行による電動駆動制御を手の内化し、将来のBEV開発へも繋げてまいります」と今後の展望を述べた。