可視化で進む安心とエコ…感覚に頼らないバッテリー寿命判断
バッテリーの寿命は平均2~3年とされるが、バッテリーの種類やユーザーによる車の使用状況によって大きく変わってくる。例えば、ご近所に買い物に行く程度の“ちょい乗り”を繰り返す場合や低速走行やアイドリング状態が多い場合、年間の走行距離が長い場合などは、バッテリーに対する負担は大きく、寿命は短くなる。
一方、長期間乗らない車の場合でも、時計やセキュリティ装置などの電装品には微小電流が流れているので、バッテリーは徐々に放電してバッテリーあがりを起こす。定期的な充電管理が必要となる。
ユーザーの使用状況によってバッテリーの劣化の仕方もさまざま。バッテリーのトラブルを回避するにはなるべく早期に交換してしまう、ぐらいしか思いつかないが、まだまだ使えるものを新品に交換してしまうのも無駄な出費だ。
一般のドライバーでは判定の難しいバッテリーの寿命を教えてくれるパナソニックの「Life WINK」に、車内用モニターが追加された。
ボンネットを開ければバッテリーの状態が分かるLife WINK ベースユニット
こういった問題を解決するために開発されたのがパナソニックの『Life WINK ベースユニット』。パナソニック製のバッテリーに装着することで、寿命を判定しユーザーに交換時期を教えてくれるというものだ。
寿命を判定する仕組みは、バッテリー新品時におけるエンジン始動時の電圧変動を記憶、以降エンジン始動のたびに電圧変動を比較することで、高い精度で寿命判定ができるというもの。車種により異なるエンジン始動時の電圧変動パターンを基準化し、それをもとにエンジン始動ごとにチェックして車両とバッテリーの状態を診断しているので、バッテリーテスターより精度の高い診断が可能という。
万が一、バッテリー上がりに陥ってしまった場合でも、「要交換」なのか、「充電不足」で回復可能なものなのか、「車両異常」によるものか、までを判定してくれる。
Life WINKは、新品時を基準とするので新品のバッテリー交換時の同時装着が前提となる。したがって現在使用中のバッテリーに、途中からLife WINKを取り付けることはできない。
今回、実際にバッテリーを交換してLife WINKを取り付けたところ、ほぼ毎日使用している車であれば取付後の2週間程度で基準値が確定した。確定前にLife WINKを取り外すとデータが消去され、初期状態にリセットされてしまうので注意が必要だ。
12V配線を経由してデータを転送
これまでLife WINK ベースユニットは、バッテリーと一緒に設置しなければならないので、ボンネットを開けて確認しなければならなかったが、車内からでも確認ができる『Life WINK 車内モニター』が用意された。
使用方法はLife WINK 車内モニターをシガーソケットに差し込むだけで、バッテリーに装着されたLife WINK ベースユニットとの通信を開始、青色、黄色、赤色とLEDの表示でLife WINK ベースユニットの診断結果を表示する。ある日突然、寿命をお知らせするのではなく、注意が必要なレベルになると黄色の点滅となるので、余裕を持ってバッテリー交換に対応することができる。
車両の電源配線を通じて通信をおこなうので、ABSやスタビリティコントロールなど車両の電子制御システム等への影響がないのか気になるが、メーカー担当者によると「さまざまなモデルでテストをして問題がないことを確認しています」とのこと。
Life WINK 車内モニター使用時は、シガーソケットが塞がれてしまうが、スマートフォンの充電などに使えるUSB端子が用意されているので、シガーソケットに差しっぱなしでも不都合はない。
発展型のアプリも用意
さらに、より詳細なバッテリーの使用状況を知りたい場合には、スマートフォンアプリの「カーバッテリー先生」が用意され、LED表示だけでは解らない情報も知ることができる。
一般的なドライバーには、バッテリーの寿命を見極めるはなかなか難しい。Life WINK ベースユニットや車内モニターを利用することでバッテリーの交換時期が明確になり、ユーザーとしては安心感が高まるだけでなく、寿命まできっちり使い、経済性を高めることも可能になる。