パナソニックとスマートドライブ、ETC2.0システムを利用した運行管理サービス「ETC2.0 Fleetサービス」説明会

車両の稼働状況や業務状況を可視化

スマートドライブとパナソニックは9月7日、物流車両を所有する企業を対象に、ETC2.0システムを利用した運行管理サービス「ETC2.0 Fleetサービス」の申し込み受け付けを開始した。

ETC2.0車載器を利用して手軽に運行管理を可能とすることで、業務効率化につなげることができる。まずは、提供する社数を限定した実証サービスとしてキャンペーン価格で提供。両社では、今回の取り組みを「助走事業」と位置づけており、2022年3月までに3社~10社を対象にサービスを提供。2022年4月から事業を本格化する。

パナソニックとスマートドライブ、ETC2.0システムを利用した運行管理サービス「ETC2.0 Fleetサービス」説明会

ETC2.0 Fleetサービスでは、ETC2.0システムに対応した路側機を通過した時の車両位置を把握し、渋滞情報などと組み合わせながら到着時刻を想定することで、荷待ち時間の削減などにつながる「車両の位置把握」、Googleストリートビューとの連動で、急ブレーキをかけた地点を表示し、危険な場所の把握やドライバーごとに最適な安全運転の指導に活用できる「安全運転管理」、過去の走行履歴を把握し、手書きでの日報作成などでの抜け漏れを防ぐ「運転日報の作成補助」、月間の拘束時間累計が上限の293時間に近づくと注意を喚起する「ドライバーの拘束時間管理」、過去の走行ルートや速度も分かりやすく表示し、ドライバーの管理や配車計画の検討に活用できる「運行履歴管理」を提供する。

パナソニック モビリティ事業戦略室の森俊彦プロジェクトリーダーは、「デジタコを搭載していない車両を所有しているため、業務管理ができていない運送会社や、運用管理コストを下げたいと考えている企業を対象に提供したい。運送会社の9割以上が中小企業であり、社長自らがドライバーという運送会社も多い。デジタルを活用することで、物流業界の課題解決を図る」としている。

パナソニック株式会社 モビリティ事業戦略室 プロジェクトリーダー 森俊彦氏

今回提供する運行管理サービスのETC2.0 Fleetサービスは、2021年6月からスマートドライブとパナソニックが共同で行なってきた実証実験がベースになっている。

スマートドライブが提供している法人向けクラウド車両管理サービス「SmartDrive Fleet」や、さまざまなデバイスから収集したモビリティデータを利活用できる「Mobility Data Platform」をベースに開発。同時に、パナソニックが開発、販売しているGPS機能を搭載した事業者向けETC2.0車載器の実績や、ITSスポットの設置、保守事業などのノウハウを活用した。

ETC2.0車載器に搭載されている乗用車の経路情報や急ブレーキを把握する機能と、高速道路および直轄国道の合計で約4100基が設置されている路側機を連携。運行管理の実施により、クルマの稼働状況や業務状況を可視化できる。

走行履歴も見える化できるため、複数のドライバーの走行ルートを把握して、配車の最適化や、ドライバーの業務効率化を実現。保有車両の台数や形態の最適化による業務改善が行なえるという。

パナソニックの森プロジェクトリーダーは、「スマートドライブでは、すでに600社、3万台の営業車両、配送車両の運行管理を行なっており、車両の業務効率化の実績がある。ドライバーが活用しやすいUIにもノウハウを持っている。また、パナソニックは、ETC2.0車載器ではトップクラスのシェアを持ち、ITSスポットの設置、保守も行ない、ETC2.0においては、業界リーダーの役割を担っている。ETC2.0のデータを活用することで、安全対策や交通インフラ管理に役立つ社会インフラを構築することで、住民、事業者、地域、社会によい暮らしを実現したい」とし、「今回のサービス提供によって、物流業界の効率化の後押しをしたい。貨物量の急増、高齢化などによるドライバー不足、エンゲージメントの課題、2024年4月に導入される労働基準法の年間残業時間規制など、過酷で厳しい事業環境における課題をデジタルで解決したい」と語る。