現代版「小作農」を実現する就農プラットフォーム「LEAP」運営が6000万円のシード資金を獲得
新規就農者(農業従事者)が農業を開始するために必要な諸条件・環境を提供する「LEAP」を運営するseakは9月1日、第三者割当増資による資金調達を実施したと発表した。引受先となったのは寺田倉庫、三菱UFJキャピタル、個人投資家で、調達した資金は総額約6000万円。同社は今日付けで就農支援プラットフォームの「LEAP」を一般公開するとしている。
LEAPは農業を開始しようとする人が直面する課題を解決するプラットフォーム。同社代表取締役の栗田紘氏によれば、通常、就農希望者は各自治体で2年間ほどの農業研修を受ける必要があるのだそうだ。また研修後に農業を開始しようとしても提供される農地が放棄されたものだったり、現在主流となるハウス栽培用の資材が高額と農業を開始するハードルは高い。
そしてこれらのハードルを超えたとしても、収穫はまた別のノウハウが必要で、十分な収益を得られるまでには至らないケースが多いという。結果として大規模な農地を持つ農家が大面積栽培で薄利多売をするという非効率が生まれる。
こういった課題を解決しようというLEAPの考え方は現代版「小作農」だ。
まず、研修については栗田氏自身が研修を終えた農家として自治体への登録が完了しているため、彼の元で働く就農者は研修を免除されることになる。次に農地についてもLEAPが一括して程度のよい農耕地を押さえており、それを貸し出すことで課題はクリアされる。
就農希望の人はLEAPに申し込むとまず農地を借りたり、ビニールハウスなどの資材を購入するための資金を調達する金融機関を斡旋してくれる。栗田氏の試算では大体600平米の農作地で1000万円ぐらいの資金が必要になるが、全額返済にかかる時間を最短で3年から4年とみているということだった。
金融機関に対しても事業性を個人としてではなく、seakとして担保することで資金調達をスムーズにする効果を期待しているという。(借りるのはあくまで個人)800万円ほどする初期資材はseakから就農希望者が調達した資金で買い取る形となっている。
「食品関連に就職したり農業大学に通う若い方の中にも実は就農したかった、という方が少なからずいらっしゃるんです。その他にもいずれ実家に帰りたいというUターン組なども対象です。また中東やアジア諸国で農業技術がまだこれからという国の方も技術学習を目的に来日しているケースもあります。一方で、設備投資がかかったり、植物が最適に育つノウハウというのは相当難しく、これを解決したいと考えてこのLEAPを考案しました」(栗田氏)。
ビジネスモデルとしてはフランチャイズのようなモデルで、研修や農地斡旋、資金融資、収穫などのポイントで手数料を設定する。バラバラの農耕地で農作業を進める就農者とは現在LINEなどのチャットツールでアドバイスを送るなどしているが、今後は温度センサーなども含めてコミュニケーションを効率化する管理画面などを用意する予定。
同社は今回の調達資金で就農プラットフォームLEAPで就農したい人材を採用するほか、初期の生産・販売体制を構築するとしている。
BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。