航続距離の延びた「日産リーフ e+」で東京~新名神の鈴鹿PAを無充電走行してみた

日産自動車のEV(電気自動車)「リーフ」に加わった「e+」は、WLTCモードでなんと458kmもの航続距離を実現したというからビックリだ。思えば初代リーフが出た当時、航続距離の短さが指摘されることが多かった。

それから10年あまり。ついにリーフで400kmを超える数字を見ることができるとは。しかも厳しいWLTCモードであることもお忘れなく。JC08モードなら570kmだ。そこで、実際に走ってみようということになったわけだ。目的地としては、都心から3月に開通したばかりの新名神高速道路 新四日市JCT(ジャンクション)~亀山JCTの途中にある鈴鹿PA(パーキングエリア)までが約380kmなので、ちょうどよいのではと考えた。

今回の無充電走行に使用した車両は、1月に発売された「リーフ e+」の上級グレード「G」(472万9320円)。ボディサイズは4480×1790×1545mm(全長×全幅×全高)、最低地上高は135mm。通常のリーフより5mm高く、最低地上高は15mm低いサイズ標準のリーフと内外装に大きな違いはなく、フロントバンパー下部にブルーのリップスポイラー状のパーツを追加したことと、充電ポートに「e+」ロゴを配した程度。しかし中身は大きく異なっており、リーフ e+では新型モジュールを採用してバッテリーパックの密度を約25%向上させ、搭載セル数を192セルから288セルに増加。バッテリー容量は40kWhから62kWhとなり、JC08モードの航続距離をこれまでの400kmから570kmに拡大(WLTCモードは458km)。そのほかGグレードのホイールは17インチ(タイヤサイズは215/50R17)が標準装備になる動力性能ではインバーターの制御やハードを変更してより多くの電流を供給することが可能になったほか、ギヤボックスを強化。これにより、標準のリーフと同じEM57型モーターを採用しつつ、最高出力160kW(218PS)/4600-5800rpm、最大トルク340Nm(34.7kgfm)/500-4000rpmに進化。80km/h~100km/hの加速時間は約15%短縮することに成功。なお、充電については急速充電ではバッテリー残量警告灯点灯から80%充電までの時間を50kW充電で約60分、高出力タイプの70kW充電で約50分としているGグレードの内装では本革シートをはじめ、プラズマクラスター搭載フルオートエアコン、前後シートヒーターなどが標準装備になる

早朝に起きて近所のディーラーであらかじめ充電してバッテリーを100%にしておき、いざ出発! 同乗するのは約90kgの編集部員、約50kgのカメラマン、63kgの筆者という3人。

鈴鹿PAに向けて元気にスタート(朝6時なのでポーズが硬いのはご愛敬)バッテリーの充電を100%にしたときの走行可能距離は387kmと表示桜並木を通りながら東京ICを目指す

航続距離の延びた「日産リーフ e+」で東京~新名神の鈴鹿PAを無充電走行してみた

ご存じのとおり、EVというのは高速巡行では不利なわけだが、走り方は基本エコドライブで、ECOモードを選択。運転支援技術「ProPILOT(プロパイロット)」は使わず、パワーメーターのエコの範囲をできるだけ超えないようにしながら走った。

カーナビの目的地を鈴鹿PAに設定したいところだが、取材日の時点ではまだ入っていなかったので四日市JCTに設定。出発時点でドライブコンピュータをリセットしたが、トリップメーターをリセットするのを忘れていて、東名高速道路の乗り口でリセットしたので、1.4kmの差があることをご理解いただきたい。

カーナビがまだ新名神の新開通区間に対応していなかったので、ひとまず四日市JCTをゴール地点とした。現在のバッテリー残量で目的地に着けない可能性がある場合は、あらかじめ充電スポットを経由地に追加することも可能。これは便利な機能

まずはひたすら西へ。厚木IC(インターチェンジ)を過ぎると、このあたりをよく走る人ならご存じだろうが、大井松田あたりは上り坂が続き、電費的には不利。御殿場ICの手前、足柄SA(サービスエリア)の少し先となる83キロポストのあたりに東名高速の最高標高地点があり、そこから先は全体としては下り勾配になるわけで、早くも最大の難関は越えたと言えそう。

リーフの航続距離計に表示される数値は、直前の平均電費と現在のリチウムイオンバッテリーの残量から約100m走行ごとに算出された、今の状態で走行を続けた場合の航続可能距離が表示される。

というわけで、われわれが今回のリーフ e+を借りる前に、誰がどういう走り方をしていたかによるが、走るほどに自分の色に染まっていって、100kmほど走行した裾野ICのあたりでは走るほどに航続可能距離が増えていくようになった。

そして目的地まで211kmを残した海沿いの由比PAで、バッテリー残量は67%、航続可能距離は308kmとの表示。これなら余裕を持っていけそうな感触だ。