ホンダの新型「ヴェゼル」開発陣がデザインの狙いを解説

「ワクワク感」「開放感」「爽快感」と実用性を両立した魅力的なクルマを目指して開発

 まず最初に、本田技研工業 四輪事業本部 ものづくりセンター 開発責任者の岡部宏二郎氏が新型ヴェゼルの全体コンセプトについて紹介。

本田技研工業 四輪事業本部 ものづくりセンター 開発責任者 岡部宏二郎氏

ホンダの新型「ヴェゼル」開発陣がデザインの狙いを解説

 岡部氏は、2013年にデビューしたヴェゼルはこれまでに世界累計で約384万台販売されていることに触れつつ、「ベースのモデルに対するフルモデルの開発というよりは、絶対値として今の世の中で世界中のお客さまに選ばれ、喜ばれるクルマにするためにはどうすればいいかというところから考えました」と述べ、「機能やスペックだけ追い求めていけばそれで選んでもらえるような時代ではない」として、選んでもらうに必要なものを考えていったという。

 その中で、“大衆ブランド”のホンダらしさとしての「身近な存在でありながら素朴でしっかり信頼ある誠実な商品」をつくり、「ユニークな技術を取り入れて、スマートかつカジュアルに個性的な価値を付加」し、「その裏にあるストーリーによって、ワクワク感や、チャレンジングなところ、ユーモアを提示する」といったブランド価値を再認識するとともに、「普遍的なホンダブランドの価値を大事にしつつ、今の時代に求められるニーズといった新しさを加えて、トレンド感のあるホンダらしい商品を提供することが重要」と定めていった。

 そして、コンセプトを確固なものにするため、“年代や性別を超えて、今の時代にふさわしい新しい価値観を持っている”という「ジェネレーションC」をターゲットユーザーに設定。「信頼/Confidence」「美しさ/In-Style」「気軽な愉しさ/Enjoyable」という3つの価値を満たしながら、単なる生活の道具というところにとどまらず、さまざまな体験を提供して日常の生活がもっと豊かになるようなクルマをつくるという狙いを定めたと紹介した。

新型ヴェゼルの開発にあたって考えたこと新型ヴェゼルのコンセプトをより確固たるものにするため、ターゲットユーザーと求められる価値を設定

 その新型ヴェゼルのグランドコンセプトは「AMP UP YOUR LIFE」で、“AMP”は“アンプリファイ/増幅する”という意味とのこと。コンセプトに加えて、「自信を持って運転できること」という「信頼」、「人を惹きつけるような主張・存在感」という「美しさ」、「五感に訴える“快”体験」という「気軽な愉しさ」の3つのテーマを、性能や機能と紐付けて1台のクルマとして仕上げることで、生活がよりAMP UP、増幅してほしいという願いが込められているという。さらに、日常のクルマにも光や風、外との繋がりなど「ワクワク感」「開放感」「爽快感」を提供したいとして、実用性と両立した魅力的なクルマを目指して開発が進められた。

新型ヴェゼルのグランドコンセプト提供したい価値パッケージデザインのコンセプト

 パッケージは、グランドコンセプトの3つのキーワードに紐付けて、力強く、美しく、全席快適なものを目指し、センタータンクレイアウトを踏襲しつつ最大限に活用することで、理想とするエクステリアのスタイリングと空間効率を両立。「非常にポテンシャルが高いポジションにあった」という現行モデルよりもさらに両方の要素を向上させることによって、「圧倒的なポジショニングを実現した」と自信を見せた。