シトロエン ベルランゴ、欧州はEVだけの設定 1月から
シトロエンは1月6日、欧州市場で販売する『ベルランゴ』(Citroen Berlingo)を1月から順次、EVバージョンの『eベルランゴ』のみにすると発表した。電動化を加速するのが目的だ。兄弟車のプジョー『リフター』も同様に『eリフター』のみとなる。
◆EVのみになるのは乗用バージョン
ベルランゴのEVに関しては、主に商用ユースを想定した『eベルランゴバン』と乗用ユースをターゲットにしたEVミニバンのeベルランゴがある。eベルランゴは、日本市場にも導入されているベルランゴをベースにしたEVとなる。
今回の決定は、エネルギー転換へのコミットメントを果たし、顧客に将来のソリューションを提供したいと考えているシトロエンブランドの責任あるアプローチの結果という。シトロエンはその歴史に忠実に、モビリティサービスに大胆に取り組み、CO2削減に取り組んでいる、と自負する。
なお、今回の決定は、欧州向け乗用ミニバンのベルランゴのみに適用され、顧客の選択肢はEV版のeベルランゴだけとなる。商用バージョンに関しては、引き続き内燃エンジン車とEVを併売していく。
シトロエン e ベルランゴ◆モーターは最大出力136hp
eベルランゴのEVパワートレインのモーターは、選択した走行モードと運転条件に応じて、パワーとトルクが変化する。「ノーマルモード」では、最大出力114hp、最大トルク21.4kgmを発生する。「エコモード」では、最大出力が82hp、最大トルクは18.4kgmに抑えられる。エアコンの作動を停止することなく、モーターのパワーを抑えることで、エネルギー消費を最適化するという。「パワーモード」では、最大出力136hp、最大トルク26.5kgmを獲得する-。最大の負荷がかかる条件下でも、快適性とパフォーマンスを向上させる、と自負する。最高速は135km/hとした。
バッテリーはリチウムイオンで、蓄電容量は50kWhとした。1回の充電での航続は、最大280km。航続を最大化するために、ブレーキや減速中のエネルギーを回収し、バッテリーに蓄える。センターコンソールの「B」ボタンを押せば、回生ブレーキが強めに作動する。バッテリーは、車両のフロア下にレイアウトされており、キャビンスペースに影響を与えないという。
シンプルな標準ソケットによる充電から、バッテリーの80%を30分で充電できる急速充電まで、3つの充電方式が導入される。家庭用には、モード2ケーブルが用意された。この充電モードは、8Aソケットまたは16Aソケットに対応しており、フル充電に、およそ15時間かかる。
急速充電には、オプションの出力3.7~22kWのウォールボックス急速充電ユニットと、モード3ケーブルが必要だ。フル充電に要する時間は、単相7.4kWウォールボックスで7時間30分、三相11kWウォールボックスで5時間となる。モード4ケーブルを利用すれば、最大出力100kWの充電ステーションで急速充電が行える。蓄電容量50kWhバッテリーの8割を30分で充電できる。急速充電の時間は、セグメントのトップクラスという。
シトロエン e ベルランゴ◆センターコンソールに「eトグルスイッチ」
センターコンソールの「eトグルスイッチ」によって、「P、R、N、D」を切り替える。エコ、ノーマル、パワーの3つの走行モードを設定できるセレクターを使用して、トランスミッションを制御する。8インチのタッチスクリーンには「エネルギー」メニューがあり、エネルギーフロー、バッテリーの充電レベル、電費などの情報を表示する。高解像度の10インチデジタルパッドとヘッドアップディスプレイが、オプションで選択できる。
「MyCitroen」アプリを使用すると、バッテリーの充電を遠隔で管理し、車両の充電レベルなどをリモートで確認できる。スマートフォンやタブレット端末から、充電を管理できる。乗車前に空調を最適に設定しておくことも可能だ。
「Free2Move」アプリは、フランス本国での充電と駐車を容易にし、22万か所を超える充電ステーションにアクセスできるように支援する。車両の航続とルート沿いに存在する充電ステーションに配慮して、最適なドライブ計画を立ててくれる。
シトロエン e ベルランゴ◆2列シートの5名乗りと3列シートの7名乗り
ラインナップは、ショートボディ(全長4400mm)と、ロングボディ(全長4750mm)の2種類が設定される。ショートボディは2列シートの5名乗り、ロングボディは3列シートの7名乗りとなる。
「ConnectNav」と呼ばれるナビゲーションシステムは、音声認識によって制御することもでき、ナビゲーション、電話、ラジオの操作を可能にする。「TomTom Traffic」は、最適なルートを見つけるために、リアルタイムで交通データを提供する。ガソリンスタンドや駐車場の位置と料金、気象情報、興味のあるポイントの検索も利用できる。
Apple「CarPlay」とグーグルの「AndroidAuto」に対応しており、ドライバーはスマートフォンを接続し、その画面を車載スクリーンに表示できる。マルチメディアコンテンツにアクセスでき、スマートフォンと互換性のあるアプリケーションを車両のタッチパッドから直接簡単に制御できる、としている。