性能が強化されたAMDのサーバー向け新プロセッサー「第3世代EPYC」、搭載サーバーが早くも登場
AMD EPYCの第3世代「Milan」が正式発表される
AMDが発表した第3世代EPYCプロセッサーは、開発コード名「Milan」(ミラン、英語でミラノのこと)で知られる、新しいサーバー市場向けのCPUだ。EPYCは、2017年の6月に発表された開発コード名「Naples」(ネイプルス、英語でナポリのこと)こと第1世代EPYC、2019年の8月に発表された開発コード名「Rome」(ローマ)こと第2世代EPYCと順当に進化してきたが、Milanはその第3世代となる。
なお、EPYCのコードネームはいずれもイタリアの都市名になっており、Milanの次世代としてAMDが開発している「Genoa」(ジェノア、英語でジェノバのこと)もイタリアの都市名だ。
最高性能のx86 CPUとうたわれる、Milanこと第3世代EPYC(出典:AMD)以下の表は、そのEPYCのスペックを、第1世代、第2世代、第3世代それぞれでまとめたものとなる。表中で赤い文字で表現している部分が前世代からの強化点となる。
表1:AMD EPYC各世代のスペック(AMD社が配布した資料などより筆者作成)これを見てわかるように、第1世代(Naples)から第2世代(Rome)への進化に関しては、ほとんど大改造と言って良いほどの大きな進化になっていた。特に大きな違いは、チップレット・アーキテクチャと呼ばれる、CPUパッケージの中に複数のダイを搭載する仕組みの変更だ。
第1世代EPYCは第1世代のチップレット・アーキテクチャを採用しており、8コアのCPUダイが最大4つ搭載されるので、CPUソケット1つで最大32コアが実現できる仕組みになっていた。この当時の競合メーカーは、パッケージあたり最大22コアの製品しかラインアップしていなかったため、ソケットあたり32コアというのは大きなインパクトがあった。第1世代EPYCが成功を収めた理由のひとつとして、このチップレットを採用したことがあるのは疑いの余地がない。
第2世代EPYCでは、そのチップレット・アーキテクチャが第2世代に進化した。第2世代のチップレットでは、CPUとI/O(メモリコントローラやPCI Expressコントローラ)が分離され、パッケージの中に8コアのCPUを8つと、IOD(I/O Die)が1つ搭載される形に強化した。これによりソケットあたりのCPUコア数は最大64へと増えたほか、新しくPCI Express Gen 4に対応。Infinity Fabricと呼ばれる内部バスの通信速度も、10.7GT/秒から18GT/秒へと強化された。
ソケットあたりのCPUコア数は、競合メーカーの28コアと比較して倍以上となり、性能面で大きく優位性を持つこととなった。こうした点が評価されて市場シェアは大きく向上しており、AMDが公開している資料(AMD CORPORATE PRESENTATION 2021年版)によれば、2017年時点での市場シェアは1%だった市場シェアは、2018年に5%、2019年には8%へと向上しているという。