冬もあったか…でもカビが生えて掃除が面倒 「浴槽のふた」、やっぱり必要?
浴槽の「ふた」必要?
冬はお風呂でゆっくり温まりたいものですが、入浴する時間帯が家族で大きく違う場合、浴槽のお湯の温度が、かなり下がってしまうことがあります。そのため、浴槽のふたを使っている人も多いのではないでしょうか。しかし、浴槽のふたを長く使っていると、知らないうちに表面に黒いカビが生えてきて、ふたの掃除をするのも大変になります。最近は、掃除の面倒さを嫌い、浴槽のふたを使わない人も増えてきているようです。カビが生えると掃除が面倒になってしまうのに、浴槽のふたは、やはり必要なのでしょうか。ハウスクリーニングアドバイザーの有賀照枝さんに聞きました。
カビ繁殖の好条件そろう
Q.浴室内は、温度や湿度が高くカビが好む環境です。浴槽のふたは、特にカビが生えやすいのでしょうか。有賀さん「カビは、(1)温度が20~30度(2)水分があること(3)皮脂や泡汚れなどの栄養源がある─という3条件がそろうと、目に見えてどんどん繁殖していきます。そうしたことから、浴槽のふたは、特にカビが生えやすいといえます。浴槽のふたと、お風呂のお湯から上がってくる湯気が当たってぬれている状態が長く続くと、浴槽の縁と接している、ふたの端部分から、カビが発生し広がるケースが多いと思います。浴槽のふたを立てて乾燥するように気を付けていても、浴槽のふたと触れている床面などの水切れがよくないと、同じくカビがその部分から発生しやすくなります。また、浴槽のふたは、頭や体を洗った際の泡や皮脂汚れが飛んできたり、浴室乾燥機で洗濯物を干したときの衣類の繊維やほこりなどが落ちてきたりして、意外と汚れています。しかも、浴槽のふたの形状が凸凹していると、汚れがたまりやすく、カビが繁殖する好条件がそろうことになります」Q.「掃除が面倒」という理由で、カビが生えた浴槽のふたをそのまま使っていると、どうなりますか。有賀さん「カビが胞子を飛ばしてどんどん繁殖してしまい、浴槽のふた全体に広がっていくのはもちろん、それ以外の場所、例えば、洗い場の床面や浴室の扉、浴室小物のボトルなど広範囲に広がり、あっという間にカビが広く繁殖する恐れがあります。また、カビをそのまま放置すると、見た目が悪いだけではなく、カビの根が素材にどんどん深く入り込んでしまい、きれいに除去するのが難しくなってしまいます。素材によっては、カビが出す黒い色素が素材に残ってしまい、カビが生える前のきれいな状態には戻らないことも考えられます。健康面でも、カビの胞子を大量に吸い込むことでぜんそくなどを発症する可能性もあるので、放置せず、できるだけ小まめに掃除をしましょう」Q.カビが生えやすい、頻繁に掃除した方がよいなど、面倒なことが多い浴槽のふたですが、中には使わない人もいます。浴槽のふたは、本当に必要なのでしょうか。有賀さん「家族構成やライフスタイルなどによって変わってくるので、一概には言いにくいのですが、各ご家庭の状況からよく検討してみてください。家族の入浴時間がバラバラの場合は、掃除が多少面倒と感じても浴槽のふたはあった方がよいでしょう。浴槽にふたがないと、入浴していない時間も湯気が上がって、浴室全体が湿っている時間がさらに長くなり、カビが生えやすくなります。最近は、スマホなどを浴室に持ち込み、動画を見る人も多いようなので、浴槽の温度低下やカビの生えやすさを防ぐためにも、ふたはあったほうが便利かもしれません。逆に、シャワーだけで湯船につかることが少なかったり、家族がまとまった時間に入浴してその後お湯をすぐに抜いたりする家庭の場合は、浴槽にふたがなくても特に問題はないと思います。また、浴槽のふたが重い、扱いにくく掃除が大変な場合は、ふたの代わりに保温シートなどを活用してみるのも一案です」Q.浴槽のふたは一般的に、表面に凹凸があります。この凹凸部分にカビが生えると、掃除をするのが大変です。どのようにすれば、カビを取り除くことができるでしょうか。有賀さん「一般的によくあるプラスチック素材の浴槽のふたは、塩素系カビ取り剤をなじませてしばらくの間置いておきます。凸凹部分にも、塩素系カビ取り剤が行きわたるように、掃除用ブラシなどでなじませるようにしましょう。素材を傷つけないように、ゴシゴシこすらないようにします。しばらく置いても、まだカビが残っているようなら、カビ取り剤をさらになじませて、放置する時間も延ばします。狭い範囲であれば、ラップなどで湿布をして、塩素系カビ取り剤とカビが密着している時間を長くするように工夫しましょう。広範囲にカビがしっかり生えてしまったのであれば、浴槽のふたごと大きなビニール袋に入れて密閉しておきます。カビが取れたら、水できれいに流してよく乾かします」Q.浴槽のふたにカビを生じさせないために、日頃から行っておくことは何ですか。有賀さん「やはり、カビが生える条件を一つでも断つことが理想的です。入浴が終わったら、浴槽のふたは水切れをよくするために立て掛けて乾かします。なるべく、ふたが浴槽と接している面を少なくするのがポイントです。組み合わせ式の場合、ふた同士がくっつかないように重ねたり丸めたりせず、離して立て掛けます。ふたが汚れていないように見えても、シャンプーやボディーソープの泡が飛んでいたり、ほこりが付いていたりする場合もあるので、シャワーで汚れをしっかり流してからにしましょう。熱めの50度以上のお湯を掛けると、カビは生えにくくなります。そして、窓や扉を開けて風通しをよくしたり、換気扇を常時まわして浴室全体の湿気をなるべく早めに飛ばしたりして、よく乾かします。こうすることで、浴槽のふたはもちろん、浴室全体のカビの繁殖もずいぶん抑えられると思います。カビで黒くなっている箇所を見つけたら、早め早めに塩素系カビ取り剤で対処することも大切です」
オトナンサー編集部