光触媒技術活用 食品を常温で新鮮保存 カルテックが新製品 将来はエネルギー分野にも
新製品の「FOOD FRESH KEEPER」を紹介する染井社長
カルテック(大阪市中央区)は2日、独自の光触媒技術を応用した新製品として、食品を新鮮なまま常温で保存できる「FOOD FRESH KEEPER(フードフレッシュキーパー)」など計4点を発表した。4製品で初年度の売り上げ10億円を目指す。 染井潤一社長は今後の事業戦略について空気、食に続いて2022年は水の浄化に乗り出し、将来的には光触媒によって水素を生み出し、次世代エネルギー分野にも参入する考えを示した。 同社の光触媒技術は、触媒となる酸化チタンに可視光LEDの光を照射し、フィルターに付着したウイルスや有害物質、細菌、悪臭成分を酸化分解する仕組みだ。分解エネルギーはオゾンの1.5倍、次亜塩素・塩素の2.2倍に上る。 2日に発表したフードフレッシュキーパーは、業界初の光触媒による常温保鮮ボックスだ。デザインは、食パンを保存するブレッドケースのよう。内部に搭載した光触媒ユニットで、エチレンガスやカビ菌などを分解する機能がある。パンのカビや果物の腐敗を抑制することができる。 このほか、除菌脱臭機の新製品として、バッテリー搭載で多目的に使える「MULTI FRESH AIR」、スポットタイプの「SPOT AIR」、ダウンライトタイプの「DOWNLIGHT AIR」を発表した。 同社は、18年の壁掛け型光触媒空間除菌脱臭機を皮切りとして首掛け型や床置き大型タイプなど、空気をきれいにする多くの製品を展開してきた。 空気の浄化、食の保鮮に続き、染井社長は「2022年から水の浄化に取り組む」と述べ、産学連携で新たな光触媒材料の開発を進めていると明かした。河川や陸上養殖の水槽、災害用トイレの水の浄化を想定している。 さらに、将来的にはエネルギー分野にも参入する方針。光触媒によって水から水素を生み出し、「太陽光発電に代わる次世代エネルギーとして、燃料電池自動車などでの使用が考えられる」(染井社長)という。
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