電力と水を自給自足、インフラに依存しない「完全オフグリッド生活」を実証へ:太陽光

LIFULL(ライフル)とU3イノベーションズは2022年3月1日、電力や水道などの既存インフラに依存しない、完全オフグリッドの住環境の実現に向けた生活実証を開始したと発表した。

この実証は、LIFULLが運営する山梨県北杜市のコミュニティ施設「LivingAnywhere Commons八ヶ岳北杜」内に、LIFULL ArchiTechが開発したインスタントハウス計5棟を建設。「オフグリッド・リビングラボ八ヶ岳」として、オフグリッドソーラーや小型淡水化装置を実装することで、最大2世帯が生活できるオフグリッド住環境を構築した。

電力と水を自給自足、インフラに依存しない「完全オフグリッド生活」を実証へ:太陽光

「オフグリッド・リビングラボ八ヶ岳」の外観 出典:LIFULL「オフグリッド・リビングラボ八ヶ岳」のイメージ 出典:LIFULL

建設した5棟は、1棟をLDK棟としてキッチンユニットやダイニングテーブルなどを設置したものに、2棟は住居棟としてベッドやデスクなどを設置し、1棟は水回り棟としてシャワー、洗濯機、洗面台、トイレなどを設置した。最後の1棟はインフラ棟として蓄電池などの電源設備と水処理設備および給湯設備を設置している。

建物に隣接してソーラーカーポートを2台設置し、発電した電気はインフラ棟の大容量蓄電池に充電するとともに、建物内の家電・設備類に供給する。また、建物内で利用された生活排水は、インフラ棟の水処理設備で浄化し、シャワーやキッチンなどで循環利用する。

「オフグリッド・リビングラボ八ヶ岳」に導入した淡水浄化システム 出典:LIFULL

導入したオフグリッドソーラーは、ネクストエナジー・アンド・リソース社のソーラーカーポート「Dulight」とオフグリッドシステムで構成。ソーラーカーポートは、雨や日よけの役割を担う屋根が太陽電池モジュールとなっていることで、施設内で必要な電気を生み出しながら、駐車場もしくは車中泊サイトとして土地を有効利用できるという。ソーラーカーポートに搭載されている太陽光発電は5.1kWで、2台の合計で総出力は10.2kW。

オフグリッドシステムには大容量の蓄電池(容量32kWh)も組み込んでおり、太陽光によって発電した電気を充電することで、夜間や雨の日でも電力系統に頼ることなく電気を利用できるとしている。

実証は2022年3月1日から開始し、得られた結果に基づく商用トライアルでさらに知見を蓄積した上で、2023年上期をめどにオフグリッドサービスとして提供を開始する計画だ。なお、今回の取り組みについては、自律分散型インフラ技術を持つテクノロジーパートナー、実証結果の商用化を目指すインフラ系などの大手企業パートナー、オフグリッドサービスの活用意向を持つレジャー系事業者および自治体なども募集している。