1週間の滞在費は約113万円! セレブや富裕層に人気の「ゴールデンドア・スパ」をのぞいてみた

ゴールデンドア・スパ・アンド・リゾート。

 1週間の滞在費は約113万円! セレブや富裕層に人気の「ゴールデンドア・スパ」をのぞいてみた

アメリカのカリフォルニア州にあるゴールデンドア・スパ・アンド・リゾート(Golden Door Spa and Resort)は、世界のエリート層をもてなしている。【全画像をみる】1週間の滞在費は約113万円! セレブや富裕層に人気の「ゴールデンドア・スパ」をのぞいてみたゲストは1週間の滞在に9950ドル(約113万円)を払っている。スパでの施術やワークアウト、その他のアクティビティの料金も含まれている。エグゼクティブ・シェフのグレッグ・フレイ・ジュニア(Greg Frey Jr.)氏は、伝統的なスパとは一味違った、満足感のある栄養豊富で美味しい食事を提供している。カリフォルニア州サンディエゴ郡の丘に隠れた場所にあるのが、ゴールデンドア・スパ・アンド・リゾートだ。1958年以来、世界の富裕層などをもてなしてきたトップクラスのスパリゾートだ。サンディエゴとロサンゼルスの間にある広さ600エーカー(約2.4平方キロメートル)の土地にあるこのスパリゾートでは、マインドフルネスや自己改善を目指すゲストが1週間滞在し、リラックスしたり、さまざまなアクティビティや施術を満喫している。1週間の滞在費は9950ドルで、有名人が訪れることも多い。オプラ・ウィンフリーやジュリア・ロバーツといったセレブや富裕層も珍しくない。このスパリゾートでは毎週、最大40人のゲストを迎えている。到着直後に行われる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陰性であることが必要だ。スタッフは全員、敷地内でのマスク着用が義務付けられている。他の高級スパリゾート同様、ゴールデンドアも事前の予約が必須だ。予約は数カ月先まで埋まっている。2021年9月、Insiderはこのスパリゾートを訪れるチャンスを手に入れた。その体験は、文字通り"黄金のドア"から始まる。ドアの向こうには完全プライベートな日本風の庭が広がっている。建物へと続くカーブした歩道橋で、ゲストは深呼吸を3回して、外の世界にストレスを置いてくるよう指示される。「『全ての悩みや不安はここに置いて行ってください。ゴールデンドアに来たら、皆さんはわたしたちの手に委ねられているのです。わたしたちが皆さんのお世話をします』と皆さんにお話ししています」とゴールデンドアの総支配人で最高執行責任者(COO)のキャシー・ファン・ネス(Kathy Van Ness)氏はInsiderに語った。メインロビーは日本風の凝った装飾がされている。1週間の滞在は日曜日に始まる。それぞれの滞在の目標を認識し、それぞれのニーズに合った1週間のプログラムを組むため、ゲストは事前に個人面談を受けることになる。ゲストに不安や不足を感じさせないよう、十分なスタッフが配置されている。ワークアウト用の服やTシャツ、バスローブ、浴衣、着物、サンダルの他、ヨガマットや筆記用具、トートバッグ、水筒、スキンケア用品などは用意されているので、ゲストの手荷物は少なくて済む。客室は敷地内に合計で40室あり、そのほとんどが同じようなつくりになっている。このうち2室は予約が最初に埋まってしまう広めのヴィラで、600ドルの追加料金が必要だ。カップルで部屋を共有することも可能だが、体験という観点からは1人1部屋の方が良いだろうと、ファン・ネス氏は話している。パーソナル・マッサージなど、一部のプログラムは自室で行われるからだ。日本風の庭園には、大きな石灯篭が。一部のセッションやクラスは、バンブーラウンジといったサイドルームで行われる。食堂はゲストが大半の食事を楽しむ場所だ。ここでは1人で来ている女性や有名人も、お互いに言葉を交わすことが奨励されている。ファン・ネス氏によると、セレブも他のゲストと同じように周りの人と会話をしているという。そして、一般のゲストもセレブがいることに「びっくり」しても大抵、それを見せないという。「誰もカメラに撮られていませんし、誰も自身のプライバシーを心配しておらず、全員が他のゲストと同じことをしているので、VIPはここへ来るのが好きなのでしょう」とファン・ネス氏は話している。エグゼクティブ・シェフのグレッグ・フレイ・ジュニア氏は、その創造力で伝統的な「スパの食事」を一変させる任務を負っている。食事は栄養たっぷりで満足感もある。「全てはサイズと量の問題です」とファン・ネス氏はゴールデンドアの食事に対する考えを語った。「健康的な体重管理の99%は、分量のコントロールです」 毎週日曜日には銀だらの西京焼きが出される。プログラムが本格的に始まる月曜日の朝には、十分なエネルギーが必要だからだ。「月曜日は何でもやりたいと思うものです」とフレイ氏は言う。「ゲストは自宅で普段やっている以上にさまざまなアクティビティをやることになります。この食事は、その前日の夜に翌日必要になるエネルギーを与えるよう考えられたものなのです」ゲストは朝に2000~5000kcalを消費する8マイル(約13キロメートル)のハイキングやジムでの激しいワークアウト・セッションなどを行うこともあるため、滞在中の食事の質は重要だ。そして、カロリーを消費するためのアクティビティには事欠かない。ゴールデンドアには7つのジム、3つのプール、テニスコート、中庭、全長30マイル(約48キロメートル)のハイキング・トレイルなどさまざまな設備がある。食堂の隣は喫茶室だ。ここではゲストが夕食に向かう前に疲れを癒しているとファン・ネス氏は話した。例えば、温かいトマトスープはカリウムの補給になる。新鮮な果物や野菜は、食事と食事の間のちょっとした軽食になる。喫茶室のすぐ外には、落ち着いた雰囲気の日本風の庭が広がっている。池にはたくさんの鯉が泳いでいる。ゴールデンドアは"ありのままの美"を大切にしている。建築制限の適用を免れているため、例えば鯉のいる池にもフェンスは設けられていない。「わたしたちは、外には一切タッチしません」とファン・ネス氏は言う。ゴールデンドアを取り囲む壁は近くを走る高速道路を見えなくすることはできるが、騒音を完全に止めることはできない。ただ、そうしたノイズを最小限に抑えるため、客室は防音になっている。客室から舗装されていない道を数メートル進むと、菜園が広がっている。スパリゾートで提供される食事には、ここで採れた食材が使われている。ゴールデンドアはバイオ集約農法をとっていて、さまざまな果物、野菜、ハーブ、スパイスを育てている。「土がカギです」とファン・ネス氏は話している。この菜園の目的の1つは、ゲストに食料品店で売られている以上に作物にはさまざまな種類があることを見せることだ。例えば、ここでは65種類のトマトが育てられている。フレイ氏がメニューのインスピレーションを得るのもここだ。「食材は何か、外へ出て自分の目で見て、アイデアをまとめたいんです」とフレイ氏は話した。「皿を手に取って、そこに食材を実際に並べてみるまで、どんな見た目になるかは全く分かりません」ちなみに、ゴールデンドアで使い切れない食材は、サンマルコスに最近オープンしたばかりの雑貨店で販売されている。カリフォルニアの干ばつもゴールデンドアにはあまり影響しなかった。敷地内にある井戸が十分な水を供給したからだ。ゲストは週に一度、菜園でランチを楽しむことになる。長い木製テーブルは、古いボート用の桟橋に使われていた木で作られたものだ。卵を供給するために、約70羽の鶏も飼育されている。卵はゴールデンドアの雑貨店の売れ筋商品でもある。店ではバジルソーセージなども人気だ。鶏たちの家がこちら。敷地内には山もあって、ゴールデンドアの8つのトレイルのうちの1つはここにある。山頂からは太平洋も見える。ハイキングはゲストに人気のアクティビティだ。1日の最初に行われるアクティビティの1つでもある。ゴールデンドアの体験は迷路で終わる。この1週間で何を学んだか、自分なりに振り返りつつ、約30分を使って歩く。「ここで与えられた自分に必要な何かを持ち帰るのか、自分に必要のないものをここに置いて行くのか? 雑念を払い、自分自身に集中するために、ゆっくりと歩くのです」とファン・ネス氏は話した。1週間の滞在が成功なら、ゲストは「もっと幸せな、満足した、やさしい人間になるにはどうしたらいいか」理解を深めて帰ることができるとファン・ネス氏は言う。ゴールデンドアでは、年に42週間を女性のためのプログラムに捧げていることもあり、ゲストの多くを女性が占めている。ただ、男性のゲストも増えていて、男性のためのプログラムを実施する回数を年に2回から6回に増やし、男女共同のプログラムも年に6回用意している。ただ、ファン・ネス氏によると、アーチェリーやフェンシングといった男性ゲスト向けのアクティビティはあるものの、男性たちはスパの"美容"の要素を楽しんでいて、女性と同じくらい多くの男性が参加しているという。批判をしない同性の仲間がいることで、より自由になれるのだろうと、同氏は話している。ゴールデンドアのゲストの約11%は、日本やノルウェー、イギリス、スペイン、カナダといった海外からの客だ。残りはアメリカの東海岸と西海岸から来た客が占めている。滞在費は高くてもリピート客は絶えない。実際、顧客の約60%はゴールデンドアに戻ってきている。100回以上訪れているゲストを無料で招待するパーティもある。これまでにこのマイルストーンを達成したのは、男性6人だけだ。 100回以上訪れている女性はいないが、98.5回訪れている女性ゲストはいるという。ゴールデンドアに1週間滞在するには少なくとも9950ドルかかるが、シンガポール航空の一部フライトでゴールデンドアの雰囲気を味わうことはできる。シンガポールとアメリカを結ぶシンガポール航空の超長距離フライトでは、2022年1月から新しい機内サービスを提供する予定で、ゴールデンドアにインスパイアされたウェルネス・アンド・ダイニング・プログラムもそこに含まれている。シェフのフレイ氏はゴールデンドアで実際に提供している食事にかなり近いメニュー作りを任されている。スパリゾートで提供されている料理にそっくりなものもあれば、シンガポール航空でしか味わえないものもある。ゴールデンドアの思い出が欲しいゲストは、敷地内にあるブティックを訪れてもいい。ファン・ネス氏が特別に集めたアイテムが並んでいる。一部の商品に入っているゴールデンドアのマークに気付く人は少ないだろうが、自分がこの特別なスパリゾートの顧客であることを示すものだ。ジンジャークッキーなど、購入後それほど長持ちしない商品もある。店に並んでいる一番高いジュエリーは、1週間の滞在費と同じくらいの価格だ。ゴールデンドアは非営利ではないが、その純利益は全てForensic Health ServicesやNew York Society for the Prevention of Cruelty to Children、San Francisco Child Abuse Prevention Center、Whole Planet Foundation、I Have a Dream、Rady Children's Hospital & Fantastic Fungiといった慈善団体に寄付されている。ゲストは入ってきた時と同じ道、同じ歩道橋を通ってゴールデンドアを後にする。「あなたは今、ゴールデンドアを後にしようとしていますが、再び会う日までわたしたちをあなたと一緒に連れて行ってください」とファン・ネス氏は話した。[原文:Inside the Golden Door Spa, the California retreat loved by the wealthy that's $9,950 for a week's stay](翻訳、編集:山口佳美)

Thomas Pallini

最終更新:BUSINESS INSIDER JAPAN