手作り水族館 はじめます

さかなの学校 7月22日から

 のりや塩作りの体験ができる神戸市垂水区の市立水産体験学習館(愛称・さかなの学校)内に、22日、手作りの小さな水族館がオープンする。今春、校長に就いた市立須磨海浜水族園(スマスイ)の元飼育員が、コロナ禍で来場者が減ったことに心を痛め、「海に興味を持ってほしい」と企画した。目指すのは「日本一質の高い無料水族館」だ。(伊藤孝則)

大鹿校長 「生き物通じ海に関心を」

 校長は、スマスイで飼育教育部長を務めたこともある大鹿達弥さん(49)。4月の着任時、入り口に設けられた円形の水槽(直径150センチ、高さ90センチ)が1基しかないことに、率直に違和感があったという。

 手作り水族館 はじめます

 「さかなの学校やのに、魚おらへんやん」

 致し方ない面もある。同館の目的は、漁業に関する体験学習を通し、漁業への親しみや理解を深めてもらうこと。入り口に水槽があるものの、水族展示がメインの施設ではないためだ。

 だがコロナ禍で、児童らに好評だった体験学習も中止が相次ぎ、入場者が激減。「港街の子どもたちの、海への関心が薄れてしまう」との危機感が高まり、同時にベテラン飼育員としての経験がうずいた。

 「目の前に広がる海の生き物をもっと展示することが、イカナゴ漁やイワシ漁といった地元の水産業に関心を持つ、大きなきっかけになるはず」

 とはいえ、設計時に想定していない水族展示を広げようにも、限界がある。このため小回りのきく生き物に狙いを定め、20基近い小型の水槽を用意した。

 近海で取れるマダコやカサゴのほか、人気があるカクレクマノミやチンアナゴ、さらには水辺の死骸を食べるウミケムシ、釣り人に「幻の魚」と呼ばれるアカメ……。懇意にする漁師らの人脈を頼りに40種200点をかき集め、今後も展示数を増やしていく考えだ。

 さかなの学校は、休日は親子連れでにぎわう商業施設「三井アウトレットパーク マリンピア神戸」の一角にあり、「買い物がてらに海を身近に感じてもらいたい」と大鹿さん。

 「見た目は気持ち悪くても、実は海の土壌浄化を支えている、といった生き物もいる。そんな世界を通し、神戸の海を身近に感じてもらえれば」

 入場無料。午前10時~午後5時、水曜定休(8月いっぱいは開館する)。問い合わせは、さかなの学校(078・706・5550)。