川や雨水を高純度の飲み水、生活水に 兵庫・三田の業者が浄水器開発 避難所の活用を想定
純度が異なる2種類の水を精製できる浄水装置=三田市天神1
宅配用の水を販売する「仙代テック」(兵庫県三田市東本庄)が、川の水や雨水などを活用して生活水と飲料水を供給できる浄水装置を開発した。純度が異なる水を同時に精製する技術は革新的といい、災害時の活用を想定している。 「東日本大震災を機に水を扱う会社としての社会的責任を感じるようになった」と長谷川良果社長(40)。以来、地震や土砂災害で大規模な断水があった地域に無償で水を提供する支援を続けている。 今回開発した浄水装置は「レインセパーアクアシステム」。避難所や大規模商業施設などでの活用を想定している。これまでの災害では自治体の給水車が水の確保をほぼ担ってきたが、車両の確保や維持、被災地の道路事情などの課題もあったという。長谷川社長は「各地域で水を自給自足できるシステムの必要性を感じた」と話す。 タンクにためた雨水の他に川や池、プールの水などでも対応できるという。あらゆる不純物を取り除き、海水を淡水化する際にも用いられる「逆浸透膜」で処理した高純度の水を精製する。装置には蛇口が二つあり、飲料水は毎分5・2リットル、トイレなどに使える生活水は毎分60リットル供給できる。人間が1日に必要とする水の量で換算すると、1台で最大約2500人分の飲料水(生活水は約4300人分)を確保できるという。 平時でも、浄化した生活水をトイレなどで使えば水道代の節約や資源の有効活用に生かすことができる。長谷川社長は「限られた資源を最大限活用しつつ、被災地での水の確保をお手伝いしたい」とする。 1台あたり330万円で、設置・維持費が別途かかる。4月15日から販売を予定している。仙代テックTEL079・560・0410(小森有喜)