ヤマダデンキが大塚家具を吸収合併/セブンネット店舗拡大、名称を「7NOW」に【小売業界動向まとめ2022年2月】
2月の小売業界では、生体認証や自動決済を活用した無人店舗や「NEC棚定点観測サービス」などDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが多くみられました。
また、ヤマダHDが住宅事業を子会社化したりヤマダデンキが大塚家具を吸収合併したりなど、家電と家具、さらに住宅までも包括できる新業態への動きが見られています。
本記事では、2月の小売業界の動向や発表されたデータについてまとめます。関連記事小売業界動向まとめ2022年1月
小売業界の最新DXニュース
2月の小売業界では、日立製作所内での無人店舗の実証実験や、商品棚をカメラでAIが在庫チェックできるサービスが開始されました。2月22日に日立製作所は、グリコチャネルクリエイトのサービスである「オフィスグリコ」を活用した無人店舗の実証実験を開始することを発表しました。この実証実験では、日立製作所の事業所内の「オフィスグリコ」にて、日立の小型無人店舗サービスコンセプト「CO-URIBA(コウリバ)」のもと、日立グループのさまざまなテクノロジーを組み合わせて生体認証や自動決済、デジタルサイネージ、センサーを活用した購買行動ログの取得などがなされます。
また、今後はグリコだけでなくさまざまな事業者との実証実験を重ねて、オフィスやテナントの空きスペースを有効活用し、新しい売り場づくりの仕組みやサービスモデルの検討を進めるとのことです。
日本電気株式会社(NEC)は2月25日より、小売業向けのDXを支援するクラウドサービス「NEC棚定点観測サービス」の提供を開始しました。NEC棚定点観測サービスでは、ドラッグストアやスーパーなどの小売店の商品棚をAIがカメラでリアルタイムに在庫量をチェックし、商品の補充など必要な情報を従業員へ提供するシステムです。
このサービスは6月より東急ストアにて先行稼働予定で、労働力不足の解消や人件費の削減が期待されています。
関連記事小売店のDXを支援する「NEC棚定点観測サービス」提供開始セブン&アイHD傘下のヨークベニマルは2月3日に、多店舗オペレーションのクラウドサービス「Shopらん」を2021年10月より全店舗での利用を開始していたことを発表しました。Shopらんはクラウド製品の企画、開発、販売を行う株式会社ドリーム・アーツが提供するサービスで、多店舗企業の本部や店舗間コミュニケーションに特化しています。
これまでヨークベニマルでは社内の共有事項をファックスやメールなどで伝達していました。
そのため、伝達が不十分だったり情報の整理に手間がかかっていたりしたのを、Shopらんを導入して情報共有システムを一本化し、伝達状況の可視化や店舗側からの情報の吸い上げなど、効率化、高度化の実現を目指すとのことです。
食品スーパーのヨークベニマルが、福島県郡山市内の3店にて床清掃ロボットを試験的に導入しました。ヨークベニマルが導入した床清掃ロボットは、ソフトバンクロボティクスが開発した「Whiz i(ウィズアイ)」という清掃ロボットで、同社は人型ロボットの「Pepper(ペッパー)」なども手掛けています。
ヨークベニマルでは郡山市内3店で来店客が少ない時間帯に1日1回運用し、ノウハウを蓄積した後に順次他店舗でも導入を広げて行くとしています。
無印良品を展開する良品計画は2月15日に、自社アプリの「MUJI passport」に新しい決済手段の「COIN+」を導入したことを発表しました。COIN+は株式会社リクルートMUFGビジネスが提供する決済サービスで、決済手数料が0.99%(税抜:ポイント還元分の負担を除く)と通常のキャッシュレス決済よりも低コストとなっています。
小売業界ニュースまとめ
2月の小売業界では、特にコンビニエンスストアに関する実証実験が見られました。また、ヤマダHDは住宅事業の完全子会社化を締結したり大塚家具を吸収合併したりなどの大きな動きを見せています。
経済産業省は2月16日に、流通経済研究所とコンビニ大手3社(セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン)が連携して、共同配送の実証実験を北海道にて実施することを発表しました。実証実験は2月21日から1週間の予定で、札幌から函館までの配送を共同で行う「コンビニの配送センター間の物流の効率化」と、函館エリアの遠隔地でローソンとセブン-イレブンの組み合わせで「遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化」の2つが実施されます。
この実証実験は配送の効率化によるコスト削減と地方の買い物難民解消、輸送効率化による温室効果ガス排出量削減を目的としたものだそうです。
コンビニ大手のセブン‐イレブンは2月17日に、スマートフォンで注文できる「セブン‐イレブンネットコンビニ」の実施店舗を1,200店まで拡大したことを発表しました。また、2月25日より名称を「7NOW」に変更するとのことです。
セブン‐イレブンネットコンビニは、北海道でのテストを2017年より開始し、2019年に広島県、2020年に東京都とテストエリアを順次拡大し、2020年12月からは最短30分でお届けするサービスを開始しています。
ローソングループの「ローソンストア100」は2月25日より、ダークストア「OniGO」と協業し「ローソンストア100中野中央店」にてデリバリーの実証実験を開始することを発表しました。店舗から半径約2km以内の場合に「OniGO」のアプリからローソンストア100の商品(生鮮食品を中心に約700品目)が注文できます。
配送料は別途300円かかり、注文から10分前後で自宅まで商品が配送されます。
この実証実験を通じてオペレーションや顧客ニーズなどを検証し、2024年度内には対応店舗100店まで拡大することを目指しています。関連記事配達専門のリアル店舗「ダークストア」とは?UberEatsも参入
ヤマダHDは2月14日に、ヤマダデンキが家具専門店の大塚家具を吸収合併することを発表しました。ヤマダデンキは2019年より大塚家具を子会社化し、ヤマダデンキの店舗で大塚家具の商品を販売するなど、両社の連携を深めてきました。
また、2月10日にはヤマダHDが住宅事業のヒノキヤグループを完全子会社化の契約を締結したことが発表されています。
ヤマダが新しく展開している家電やリフォーム、家具を包括的にそろえる新業態店舗との、共同出店も視野に入れているとのことです。
各業態 1月の売上動向
ここでは、2022年1月の各業態について売上動向をまとめます。:チェーンストアでの総販売額は1兆1,091億円、前年同月比4.0%増:コンビニエンスストアにおける既存店ベースの売上高は8,378億2,800万、前年同月比2.1%増
:スーパーマーケットにおける総売上高は9,564億4,122万、既存店前年同期比2.1%減
:全国の百貨店の売り上げ総額は約3,751億円、前年同月比15.6%増
:ホームセンターの売上高は2,507億円で前年同月比2.7%減:ドラッグストアの売上高は6,179億円で前年同月比5.5%増:家電大型専門店の売上高は4,235億円で前年同月比1.6%減
既存店売上:1月分の業種別の売上動向
ここでは、2月に発表された小売業関連の各種データについて紹介します。2月に発表された総合スーパーの主要3グループの営業情報によると、2022年1月の既存店売上は前年同月比でイオンリテール1.0%増、パン・パシフィック・インターナショナルHD国内主要4社(ドン・キホーテ、ユニー、長崎屋、UDリテール)1.5%増、イトーヨーカ堂1.1%増となりました。年始の初売りや福袋企画などがあったため、3グループすべてで既存店の売上が前年比でプラスとなりましたが、中旬以降はオミクロン株の急激な感染拡大によって数字を落としています。
スーパーマーケット
2月に発表された全国の主要スーパーマーケット10社の営業情報によると、2022年1月の既存店売上は前年同月比でバローが0.5%の微増となりましたが、それ以外の9社では客数とともにマイナス成長となりました。2月に発表された家電量販店の大手5社の営業情報によると、2022年1月の既存店売上は前年同月比でケーズHDが1.9%減、エディオン3.7%減、ビックカメラ1.1%増、コジマ1.8%増、上新電機4.0%減となり、ビックカメラは9か月ぶり、コジマは3か月ぶりのプラスとなりました。全体的に冷蔵庫や洗濯機などの家庭家電と携帯電話などの売上は好調となっていたようです。
2月に発表された大手メガネチェーン4社の営業情報によると、2022年1月の既存店売上は前年同月比で愛眼が8.5%増、JINS0.7%減、三城HD5.7%増、ビジョナリーHD12%増となり、JINSを除いた3社で売上が増加しています。JINSは既存店の売上高ではマイナスとなりましたが、全店での売上で見ると3.7%増となっています。
新型コロナウイルスの感染拡大が1月中旬以降の客足の減少につながったとみられます。
博報堂生活総研 [来月の消費予報・3月]
博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は2月25日、「来月の消費予報・2022年3月」を発表しました。それによると、2022年3月の消費意欲指数は47.1点で、前月比では4.2点増、前年比では0.6点増となりました。3月は新生活や新年度の準備などに向けて例年消費意欲指数が高まる月となっています。
特に今年は過去5年の3月の中で最も高い数値となり、2022年は1月、2月、3月と連続で、過去5年の同月最高点となっています。
カテゴリー別の消費意向に目を向けると、小売関係では「ファッション」「化粧品」「書籍・エンタメ」などに回答した人が前年度比よりも20人以上増えています。
「外食」「旅行」「レジャー」「理美容」など、外向きの消費意欲の高まりもうかがえます。
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