最後の難関“騒音”。二重サッシと新しい生活:四十男 築50年の家を買う(3)
新居として決めた物件は、駅前で幹線道路沿いという騒音の大きい環境に加えて、築50年以上のマンションで、古いすき間だらけのサッシがそのまま使われている。そこで入居前から計画していたのが、サッシに防音対策を施すことだ。
引き渡し直後の新居。洗面室からダイニングと仕事部屋を見たところ。フルリフォーム済みだが、サッシだけは古いままだ一般に、マンションのサッシや窓ガラスは、外壁や階段と同じマンションの「共用部」にあたる。交換などのリフォームをしようとすると、管理組合の合意が必要になり(細則による)、全戸改修するのかどうか、その費用はどうするのかといった話に発展してしまい、かなりハードルが高い。この物件も、フルリフォームして販売されていたにもかかわらず、サッシだけは古いままだった。一方、サッシの内側にある木枠からは「専有部」(所有者が購入した部分)であるということは事前に確認しておいた。
そこで騒音対策として、5つある窓をすべて二重サッシ(二重窓、内窓)にすることに決め、内見が終わった段階で、二重サッシ化することを前提に準備を進めた。
5つすべてとしたのは、防音目的では音が侵入する「すき間」、つまり弱点をつくらないことがポイントで、古いすき間だらけのサッシが1つでも残っていると、そこから騒音が入り、トータルでの「静かな空間」の実現が大きく損なわれるからだ。
5つの窓のうち1つは寝室で、仕事部屋やダイニングとは隣接していない独立した部屋だ。しかしこちらも、安眠という意味では防音対策を施さないわけにはいかない。残りの4つの窓は、仕事部屋に2つ、ダイニングに1つ、洗面室の洗面台の隣に1つ。この3つの部屋は、引き戸を開けるとすべてひとつの空間としてつながる間取りのため、前述のように1つでも二重サッシ化を省くと、そこが防音上の弱点になってしまう懸念があった。
洗面室にある小さめの窓。アルミ製だが古く、ガガガガと擦りながら開ける中央の合わせ目にはでかいすき間。湿気も音も虫も入ってくる戸が当たる部分には、元から無いのか劣化して取れたのか、スポンジやゴムパッキンはなく、金属同士がぶつかるのみ。物件のすべての窓が同様だった二重サッシは共用部に手を加えることなく施工できるほか、遮音性能だけでなく遮熱性能も高く、エアコンの省エネにつながるなどメリットは多い。掃除が面倒という指摘もあるようだが、外窓と違って風雨にさらされないため室外側は汚れにくく、掃除の機会は比較的少ない。筆者の物件は外窓がすべて不透明なガラスのため、汚れがそもそも目立ちにくいということもある。
また、二重サッシは部屋の中から外に漏れる音も大きく低減する。楽器を演奏できるといった防音マンションで二重サッシが採用されている場合もある。これまでの木造のアパートでは、スピーカーから出す音はかなり絞り、しっかり聴きたい場合はヘッドホンを使うという環境だったが、ようやくスピーカーで普通に音が出せる環境になりそうだ(最上階の角部屋という点も大きいが)。