新生「aibo」について、開発者たちに聞いたいくつかのこと

aibo

aiboは、脚式の家庭用自律エンタテイメントロボットである。商品としてのaiboについては本誌でも既にお知らせしているとおり(ソニー、生まれ変わった新「aibo」を発表)なので省略するが、購入方法は現在、ソニーストアオンライン専用サイトからの直販のみとなっている。

価格は本体198,000円+3年間の通信サービス料+任意加入のaiboケアサポート合算で、税込でおおよそ37万円程度。これまで数回にわたり、抽選販売も含めて販売を行なっている。

今回の取材の話題の前に、aibo発表会で筆者が注目した点は3つあった。

1つ目は平井社長が「アイボ!」と壇上に呼び込んだときにaiboが見せた高速歩行だ。開発グループが「トロット」と呼んでいるこの歩行パターンは、飼い主が呼んだときに駆け寄る動作を実現しようとしたものだ。

aiboオーナーの方々のなかにはトロット歩行について「走っている」と表現している人もいる。普段の歩行との相対的な速度差があるだけ、ずいぶん目立つようだ。歩行パターンはほかにもあるかもしれない。

新生「aibo」について、開発者たちに聞いたいくつかのこと

2つ目は、腰部分に配置されたSLAM用のカメラである。

画像から特徴点を見出して、自己位置推定と地図生成を同時に行なう、ビジュアルSLAMを行なうためのカメラで、これは近年開発されたロボットならではの特徴だ。この技術で、今度のaiboは「別の部屋からも充電台まで戻ってくることができる」(森田拓磨氏)とのことだ。

残念ながら、実際のユーザーたちがその効果を実感したという声はSNS上ではまだ見当たらない。aiboのSLAMの特徴については後述する。

腰のSLAMカメラ

3つ目は、鼻下のToFセンサーである。ToF(Time of Flight)とは、投射光とその反射を使って距離を測るセンサーである。

背景について紹介すると、ソニーは2015年10月8日に、ベルギーのSoftkinetic Systemsという会社を買収している。2017年6月には、裏面照射型CMOSとの組み合わせで、従来比1.5倍の高精度距離画像を取得できるようになったとリリースした。

さらに、2017年11月に行なわれたaibo発表会のあとには、Softkinetic Systemsを「ソニーデプスセンシング ソリューションズ ホールディング社」に社名変更。裏面照射型ToF方式距離画像センサーを、「DepthSense」として製品化した。

これがaiboの鼻先(口の上部分)に搭載されているセンサーだ。

aiboの口に使われているToFで、今後何ができるのか。Softkinetic時代に公開されている動画を見ると、車載機器のジェスチャ操作に使っている。ToFを空間インターフェイスとして使う試みは、他社も進めている一般的な使い方の1つで、展示会などでも散見される。

ここから、なぜaiboの口部分にToFを付けたのか、あるいは今後aiboができそうなことが、うっすら分かる。おそらく、今後のaiboはジェスチャーが見分けられるようになる可能性が高い。こちらについてもインタビューを交えて後述する。