【NEW環境展2018】トレーラーからゴミ収集車、路面清掃車や巨大ロボットまで注目の車だらけ

NEW環境展は、リサイクル技術を中心に環境保全のための技術や製品が集まる展示会だ。併催されている地球温暖化防止展と合わせ、会場内には様々なリサイクルや省エネ関連の企業がブースを連ねる。会場の東京ビッグサイトには超大型のシュレッダーマシンなどの大型プラントまで持ち込まれ、かなりの存在感を放っていた。

大きな3台のトレーラーを展示していたのは上陣という愛媛県の企業。ドイツのLangendorf社製のトレーラーは新車ということもあるが、日本製のトレーラーとは見た目の雰囲気がかなり違う。カッチリとしていて剛性が高そうな印象だ。同社は製品の特性上、大量生産しているものではないので、日本の需要に合わせた日本仕様をオーダーして輸入販売している。

ドイツ製と言っても構成要素のすべてをドイツ製で固めている訳ではない。ベッセルの素材はスウェーデン鋼、それもスウェーデンスチール社製のHARDOX450という耐摩耗性に優れた高張力鋼板を使って軽量化している。ハブベアリングやブレーキはオランダのSAF-HOLLAND製だ。優れたモノは生産国を問わず積極的に使う姿勢が伺い知れる。

上陣整備部の芳野洋文氏によれば、ブレーキに関してはディスクとドラムがあるが、これまで日本では圧倒的にドラムブレーキが多かった。しかしUDトラックスの大型トラック、クオンがディスクブレーキを採用してきたことから、日本でも耐フェード性が高く、軽量化も可能なディスクブレーキを採用する傾向になってきたそうだ。今回展示したダンプトレーラー、LK25はSAF社製のディスクブレーキを採用している。

LK25は短い全長のトレーラーなので10tダンプしか入れないようなルートの場合でも搬入可能とし、25tの積載量を可能にしたそうだ。

【NEW環境展2018】トレーラーからゴミ収集車、路面清掃車や巨大ロボットまで注目の車だらけ

重機トレーラーもハイテン鋼を用いて軽量化し、2軸で25tの積載重量を実現している。ユニークなのは、小回り性を高めながら内輪差を減らすリアステアをトラクターとの連結部にターンテーブルを設け、そこに角度を読み取るセンサーを組み込むことで、自動的にリア2軸の操舵を行うことを実現していることだ。こうした仕掛けは初めて見た。

極東開発は、NEW環境展初日のこの日に新しいゴミ収集車を発表した。新型プレスパックは、従来のプレスパックの特徴であったプリウス風のテールランプや丸みを帯びたリアデザインなどを受け継ぎながら、さらに安全で快適に使いやすく改善されている。よりワイドになった投入口やスムーズな開閉を可能にしたワンタッチハンドル、投入口横のローディングスイッチは側方からも操作できるよう斜めに取り付けられている。ゴミの臭いの飛散を防止する内部のゴムも先端部に厚みをもたせることで丸まりを防止した。

消防車メーカーのモリタも関連会社のモリタエコノスが製造するゴミ収集車、プレスマスターを展示した。こちらは4月に発売されたもので、独自のハイマウントリアパネルによって後方からの視認性を高め、ボディにはリブが入ることでデザイン性と剛性を高めている。こちらはイベントでボディのリブ形状に合わせた見事なプロジェクションマッピングを展開していた。同社広報の石橋正行氏によれば、これは専門企業に依頼したが、会場に搬入してからも調整に非常に時間がかかったそうだ。

新明和工業も4月にフルモデルチェンジしたゴミ収集車のG-PXを展示した。注目は巻き込まれ防止補助装置Smart eye motionだ。これはバックアイカメラの画像を認識し、作業員のヘルメットなどが奥に入り込みそうになったら自動で緊急停止するもの。人と機械の両方で安全を確保する仕組みだ。

路面清掃車を手がける豊和工業は2台のロードスイーパーを展示していた。1台はタウンスイーパーと呼ぶEVのロードスイーパー。これは工場内で従来使われてきたものを公道走行可能としたもので、展示されていたのは試作品。来春の発売に向けて、今後デザインなどは改良される予定だ。リチウムイオンバッテリーで4時間の走行を可能にしており、深夜や早朝でも騒音の少ない路面清掃が実現できる。

もう1台は中型トラックベースの4輪ブラシ式路面清掃車で、ワンエンジンを実現した試作車だ。従来、4輪ブラシ式路面清掃車は、車両の速度や走行用エンジンの回転数にブラシの回転が影響されないよう、作業用エンジンを搭載して安定した油圧を確保している。しかし作業用エンジンはスペースや重量の負担もあり、また現時点で排ガス規制の適用はないものの、今後は排気ガスの規制が敷かれる可能性もある。そこで走行用エンジンからPTO(パワーテイクオフ)でブラシ駆動の油圧を作り出せるように試作した。具体的にはPTOによって駆動する油圧ポンプを電子制御して吐出量を調整する機能を持たせている。今後、こうした車両も求められることになりそうだ。

東ホール内にテントで囲まれたブースがあった。何を展示しているのかと思ったら、巨大なロボットだ。このロボットは次世代型解体装甲機でSUPER GUZZILLA(スーパーガジラ)という名らしく、ゴツくも何だか愛らしい不思議な雰囲気を放っている。そして音楽が流れ始めると両腕を色々なポーズに動かし、リズミカルに踊るのである。

展示していたのはタグチ工業という企業で、同社は建物の解体工事などで使われるブレーカや鉄骨切断機のアタッチメントを製造する岡山県のメーカーだ。説明員によればこのスーパーガジラは2015年に製作したもので、実際に解体作業に使えるものではなく、あくまで会社のPRのために開発したものだとか。

日立建機のホイールローダーをベースにボディやアームを社内で製作。腕は6軸の多関節でサーボモーターにより駆動している。右腕の大割機DS、左腕のDSカッターはアルミ合金製なので、軽量だが強度はないようだ。

そしてコックピットには体験型のVRゲームが搭載されており、このスーパーガジラを操縦して建物内を解体しながら進んでいくゲームを楽しむことができるそうだ。同社はこのガジラをブランド化して、機関誌やアクセサリーグッズなどを展開し、建築解体業界のイメージアップに努めているのだ。