Facebook、メタバースへの野望(1)
FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が、昨日開催されたオンラインイベント「Facebook Connect」で社名を「Meta」に変更したことは、歴史的な出来事だった。
しかし、この決定は大きな批判に晒されてミーム化している。Xboxの共同開発者であるSeamus Blackley氏は、ザッカーバーグ氏の新しいMetaのロゴには「Here’s a schematic representation of my testicles.(これは私の金●を模したものでございます・訳註:このツイートは削除されている)」というキャプションを付けるべきだとツイートした。このほかにも、ザッカーバーグ氏の壮大な計画をあざ笑う思いやりのない、くだらないジョークがたくさんある。
人々はFacebookが人々への配慮や政治的な平和よりも利益を優先することで多くの非難を浴びている最中に、この動きを示すのは頭が悪すぎると口にしている。
このように多くの人々がザッカーバーグ氏を小馬鹿にしているが、私にはいくつかの賢明な行動が見えている。多くの人がメタバース(すべてが相互につながっている仮想世界の世界)を馬鹿にしている。しかし、私は「Snow Crush」や「Ready Player One」などの小説を読んで以来、ずっとそのことを考えていた。これらは何十年もかけて作られてきたもので、Second LifeやGrand Theft Auto Online、Robloxのように小さなものはあるものの、まだ本当の意味では存在していないのだ。
未来学者のMatthew Ball氏は、メタバースは自分がその中にいると感じるべきものだと述べている。また、ザッカーバーグ氏が言ったように臨場感や、どこか別の場所に移動したような感覚を感じるべきだと思っている。
私はメタバースを信じていることを馬鹿にされたことがある。
一部の人々のアドバイスを無視して、私は2021年1月にメタバースのイベントを企画し、関連する30のパネルを用意して、ゲーム界のリーダーたちを集めた。(ちなみに11月9日~10日にも「GamesBeat Summit Next」というカンファレンスがありそこでもメタバースの話をするし、1月には2回目のメタバースイベントを開催する予定だ)人に笑われながらも私はこの道を歩み続けた。
そして今、十分な資金を持っているFacebookがここまで踏み込んでメタバースを受け入れることになるとは。
ザッカーバーグ氏は、自分が批判されることをある程度認識していた。発表に先立って行われたプレスイベントで、(論争を踏まえて)彼は次のように語っている。
「私は、現在取り組むべき重要な問題があることを認識しています。私たちは、そのための努力を続け、業界をリードする大規模な取り組みを続けていくことをお約束します。同時に、現在の問題は常に存在するとも考えています。だからこそ前に進み、未来の姿を創造する努力を続けることが重要なのです」。
私たちSFオタクはみな笑われている。CNNのような賢い専門家たちは、ザッカーバーグ氏がそんなオタクだと嘲笑している。しかし、NvidiaのCEOであるJensen Huang氏は「そもそも我々はSFの中で生きている」と言ったことで有名だ。AIは長い間苦労して、6年前くらいからようやくまともに動くようになったということを彼は言いたかったのだ。
今やAIは巨大で、8,500社のスタートアップたちが数々の新技術に取り組んでおり、他の分野の進歩にもつながっている。そう、AIはメタバースを構築するために必要なブレークスルーのひとつなのだ。AIで成功したのだから、メタバースでも成功する可能性があるのだ。多くの賢明な人々がそのことに気づき、ザッカーバーグ氏と並んで夢をを見始めている。
世界中のどこにいても驚くほどの没入感と瞬間性、そしてユビキタス性を備えた真のメタバースを実現するには、まだまだ遠い道のりだと思っている。私たちが望んでいるものは現実にはまだ遠い。しかし、ザッカーバーグ氏のクールな画像や動画は、その気持ちをよく表している。もし、彼がアニメーションで描いたビジョンを現実のものとして実現することができたらそれは本当に素晴らしいことだ。
私の好きな格言「金の流れに従え(follow the money)」をもう一度持ち出すとしたら、メタバースには莫大な資金が投入されているので、それが実現するという結論になる。マンハッタン計画のような巨大な計画を立てて、原爆を持たずに帰ってくることはできない。メタバースが実現するのは資本がそれに賭けているからであり、ザッカーバーグ氏がそれを見抜く知恵を持っていることは認めるべきなのだ。(次につづく)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】
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