コロナ第6波に有効 家電メーカー製マスクが凄いワケ
(peterschreiber.media/gettyimages)
2020年の1月16日に新型コロナウイルス感染者が国内で確認された。以降、世界中がコロナ禍に巻き込まれ大変な騒ぎとなっている。初めに不足した物資はマスク。日本では、窮余の策として政府配給のいわゆる「アベノマスク」が登場したが、その顛末が明らかになると、ビジネスを経験したことがある人からすれば、あまりにお粗末と言える。 今回、家電メーカーが生産している「マスク」から、コロナという危機を乗り越えることとビジネスの関係を探る。
目の付けどころが違う? シャープ
マスクが不足した2020年初頭、日本政府はマスクを作るメーカーに新規、増産共に補助金を出すことを決定した。ただし、それは短期納入がマストだった。それを受けて立ったのが、かつての液晶テレビの雄、シャープだ。家電メーカーが製品を立ち上げる場合、「投資」もそうだが、「原材料」「生産ライン」「品質管理」「販路」が必要になる。 例えば「販路」。マスクではないが、中国メーカーが日本でテレビを売る場合に、どれくらい時間がかかるかというと、ざっと3年と言われている。時間をかけないと販売時に必要な「信用」が得られないのだ。シャープは、2020年2月初頭からリサーチを開始、同月28日にマスク生産を行うことを決定した。そして3月半ばには出荷に漕ぎ着けた。短期も短期。短期でできた最大の理由は、液晶パネル生産のためのクリーンルームが余っていたからだと、シャープは語る。 マスクは不織布のロールを加工機でマスクに仕立て上げる。マスク1枚分の不織布を切り出し、折るなどして形にして、超音波溶着する。耳紐を付け超音波溶着。品質チェックを行い、問題がなければ、1枚ができ上がる。 加工機はホコリがないクリーンルーム内に設置される。このクリーンルーム、建屋自体が対応しているとベストだが、そうでない場合は、建屋の中に特別な部屋を新しく設けることになる。ホコリが侵入しないように、換気空気のフィルタリング、エアーシャワーの設置などなど、時間と手間がかかる。一般的には数カ月かかるとされる。シャープは、クリーンルームを持っていたことで、この時間が節約できたわけだ。 しかし、それでも設備の入手、設置、立ち上げに時間がかるし、第一、シャープ自体はマスクを作ったことがなく、スペシャリストもいない。