スズキ ワゴンRスマイルvsダイハツ ムーヴキャンバス【ハイト系ワゴン対決】
スズキ ワゴンRスマイルは、「走行シーンは街乗り」と、ある程度割り切った感がある。とくに、低・中速での乗り心地と静粛性が重視された。アクセルを踏んでも、それほど力強さはない。最上級グレード比較で、スマイルはワゴンRより80kgも重いからだ。それでも、モーターアシストが効いているため、遅いなぁ、と思うレベルではない。街乗りと割り切るのであれば、可もなく不可もない曖昧な評価になる。エンジン出力は、49ps&58Nmだ。これが高速道路になると、非力感が前面に出てくる。ダラダラと長い登り坂で100km/h巡行をしようとすると、アクセルはほぼ全開状態になる。エンジンも、かなり賑やかだ。しかし、スマイルの静粛性は高く評価したい。車内はかなり賑やかになるが、意外と不満は少ない。耳障りな音はしっかりと抑え込まれているからだ。ボディには、不快な音や振動を低減する技術が投入されていて、クラストップレベルの静粛を誇る。車内での会話を妨げるようなことは、ほとんど無かった。
スマイルの乗り心地も快適だった。ボディは、構造用接着剤を積極的に使用し、ボディ剛性を高めている。そのため、サスペンションはしなやかに動く。低・中速域では、不満のない乗り心地だ。しかし、高速域に入るとクルマの揺れを抑えきれなくなる。高速道路などで、100km/h巡行すると、フワンフワンした乗り心地となりボディが常に揺れている印象を受けた。もう少し、ボディの揺れが抑えられるセッティングでもいいと思う。
驚いたのは、スマイルのハンドリング性能だ。交差点を低速で曲がるときには、それほど気にならなかったが、高速道路で本線に入る前の大きなカーブや峠道では、ハンドルを切ってもクルマがなかなか曲がらない。かなりダルなハンドリングになっている。運転が不慣れな人にとっては、機敏過ぎるハンドリングは扱いにくいのかもしれないが、ここまでダルだと運転が好きな人にとっては逆に扱いにくさとストレスを感じるかもしれない。スズキのソリオは同じタイプで1クラス上のクルマだ。ソリオくらいのハンドリング性能がちょうどよい。