純正ソックリのキーケースで劣化したケースを交換「プジョー206、307用キーレスケースフリップタイプ 社外品」
キーレスエントリーなどと呼ばれる、遠隔からドアの施錠/解錠をコントロールできるリモコンキーのケース部分は、プラスチックで作られているタイプが多い。毎日キーを持ち歩いていると、リモコンキーのケース部分が劣化していく。特にボタン部がケースと一体化していて、プラスチックの弾力で内部のマイクロスイッチを押すタイプでは、ボタン部分が破れてしまうこともある。筆者の愛車のキーもこのパターン。スイッチを押す部分が劣化して、完全にボロボロになって内部が露出してしまった。ボタン部分がケースと分離しているスイッチとなっていれば、こういった劣化が起きにくいのだが、一時期この手のケースが主流だったようでよく見かける。
キーケースの交換であればディーラーに持って行けばラクなのだが、愛車(プジョー206)のキーはイモビライザー(※)付きで、しかも肝心のキー先端部分を壊してしまい、外してケースだけをリモコンキーとして使い、エンジン始動にはスペアキーを使うという、ちょっとややこしい状況になっている。キー先端部分とキーケースがあればよいのだが、ディーラーに修理を依頼するとキー丸ごと新品交換になってしまうことが考えられる。イモビライザー付きのキー製作はビックリするほど高価な上に時間がかかる。クルマが動かせないわけではないので、それは避けたかった。
単純にキーケースを交換するだけなら、作業的にはそれほど難しくないだろうと予想し、今回は自力で交換してみることにした。キーケースは、車種によっては純正品をパーツとして取り寄せることもできる。
今回は純正と互換性のあるサードパーティパーツを入手してみた。インターネットを使って探すと、さまざまな車種のキーケースが見つかるはずだ。ここで注意したいのは、キーカバーと呼ばれている商品は、全体を覆うカバーなので、今回のようにケース交換したい場合には選ばないようにしよう。
汚くて申し訳ないが、長年の使用でボロボロになってしまった愛車のキーカバー。スイッチ部分のカバーが完全に壊れてしまった新品のキーカバーでは、このようにスイッチになっている。このスイッチ部の薄い部分がネック愛車のシリーズでは、後期型になるとキーケースが変更されていて、やや高級感のあるタイプになっている。気分転換にこちらのケースを選んでみた(内部のリモコンパーツは同形状)。ポケット内ではキーをケース内に収納しておき、ボタンを押すとキー部分がフリップしてジャックナイフのように飛び出す。これはキー部分の保護もかねている。以前キーを壊した際は単にアスファルトに落としただけでキー先端がわずかに変形してしまった。また落とした際にキー先端を壊さないためにもこの機能はありがたい。
また、今回選んだキーケースにはブランクキーが付いているのもポイント。以前にキー先端を壊してしまっているので、新たにキー部分も作りたかったのだ。しかし、愛車のキーは先端に穴が空いている特殊なキーで、なかなか鍵屋にもブランクキーが用意されていない。ブランクキーさえあれば、単純にキー形状を鍵屋で作ってもらうだけで使用できる。まさに願ったりかなったりの製品だ。
今回購入したRK.Planning「プジョー206、307用キーレスケースフリップタイプ 社外品」(価格:2580円)。キー部分がフリップするタイプでブランクキーが付属するブランクキー先端には穴が空いている。この特殊なブランクキーが付属するのはありがたい作業は、古いケースを分解し、新しいケースに中のリモコン基板とイモビライザーチップ、キーを移植するだけだ。今回はブランクキーから合い鍵を作ったが、通常はこれまで使っていたキーを移植すればよい。リモコンキーでは電池を使うので、この機会に新品に交換するとベストだが、電池を交換するとリモコンが初期化(リセット)されることがあるので、先に初期化後に必要な操作をマニュアルで確認しておいてから交換してほしい。初期化後の操作を知らないとリモコンが使えなくなってしまうので面倒だ。
イモビライザーチップ(トランスポンダチップ)は、車種によっては分かりにくい場所に埋め込まれていたり、極小サイズだったりする。そのため、ゼッタイになくさないように注意。チップの存在を知らずに古いケースごと捨ててしまうなんてことのないように、愛車のイモビライザー有無は把握してから作業を開始したい。またチップは割れやすい点にも注意する。イモビライザーチップを無くしたり壊すと新規に作らなくてはならなくなり、DIYでケース交換をする意味がなくなる。
今回選んだキーケースは、キーをフリップするギミックがあるので、その部分のボタンとバネの取り付けがやや面倒だった。
古いケースからリモコンの基板とイモビライザーチップを取り出す基板には電池(CR2016)が付いている。この機会に交換しておくとよい電池の交換前には、念のためリモコンの初期化操作を調べておこう。マニュアルを参照するかディーラーに聞けば教えてくれるはずだ新しいケースに基板を装着する。ボタン部分を合わせてはめこむイモビライザーチップを所定の場所に装着する。多くはキーに近い位置にはめ込み部分があるこのキーはボタンを押すとキーがフリップするタイプなので、テンションがかかるようにバネをうまくはめ込む必要があるあとはねじ止めすれば完成キーケースを新しくしたリモコンキー。ちょっとだけ新車を買った時の気分が味わえる筆者はリモコンキーなどはなかった頃から運転している世代なので、ボタンが壊れてしまってからも特に不便だとも思わず、しばらくリモコンキーを使わずにスペアキーのみで使っていたのだが、やはりちゃんとリモコンキーが使えると便利なことを実感した。今回選択したキーがフリップするタイプは、これまでのケースより大柄なのだがキー先端が守られているので安心感があり、キー先端が出ない形状でポケットに入れやすくなった。もし、今回紹介したようなフリップタイプのケースが選べる車種ならおすすめしたい。
一点だけ難点が。このキーケースでは、開閉のスイッチが手探りではどちらかが判別できなくなってしまったので少し使いにくくなった。
キーを新調するほどではなく、ケースのみがくたびれてきてしまっているなら、今回のようにイモビライザー付きキーでも意外と簡単にケース交換のみで新品同様になるので、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。
※:イモビライザーが搭載されているクルマでは、クルマごとに異なる専用キーを使わないと、キーは回るがエンジンがかからない。イモビライザーは、エンジンとキー内部のトランスポンダチップが始動時に通信をして、IDコードが一致しない限り始動させないという仕組みの車両盗難防止システム。万一カギをなくしてしまった場合には、個別のイモビライザーID(通常カードなどで別途保管しておく)を伝えて再作成しなくてはならない。