三菱自動車「eKワゴン」「eKカスタム」(一部改良)

一部改良という控えめな表現でリファインが行われたことを報じられた三菱自動車工業「eKワゴン」「eKカスタム」に乗ってきた。広報資料のサブタイトルとして謳われるのは「動力性能を向上させるとともに、クラストップの低燃費30.0km/Lを実現」というフレーズだ。

三菱自動車「eKワゴン」「eKカスタム」(一部改良)

前出の30.0km/Lというデータを達成したのは、シリーズ中の自然吸気エンジン搭載モデル。ただし、その中にあっても108万円という低価格をアピールする、eKワゴンのベーシックグレード「E」は除外されている。

日産自動車との合弁会社であるNMKVのプロデュースによる作品として、日産バージョンである「デイズ」とともに現行型のeKワゴン/eKカスタムがローンチされたのは、2013年6月のこと。すなわち、発売開始からまだ1年強というタイミングゆえ、見た目上ではボディーやインテリア・カラーのわずかな設定変更が行われた程度と、大きな手が加えられなかったのは当然でもあるだろう。

撮影車両の「eKカスタム(G/2WD)」。ボディーサイズは3395×1475×1620mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2430mm。ボディーカラーはeKカスタム専用色の「ショコラブラウンパール」で、価格は140万7240円Gグレード標準装備の14インチアルミホイール(タイヤサイズ:155/65 R14)eKカスタムのインテリアはスポーティなブラック内装を基本とし、シート生地にスエード調ファブリックを採用する今回の一部改良で、eKワゴンとeKカスタムの「M」「G」グレード(2WD)に減速時の運動エネルギーを利用して発電し、その電力をニッケル水素電池に蓄えて電装品に供給する「アシストバッテリー」を搭載。これに伴い、対象車両のタコメーター付ハイコントラストメーターにバッテリーチャージを示すアイコンが追加された助手席下に搭載されるニッケル水素電池リアシートは5:5分割可倒式で、170mmの前後スライドを可能にするとともに、リクライニングは左右独立して調節可能

一方、装備面では当初はデイズのみに用意された車両周辺を俯瞰視表示する機能付きのモニターが、一部グレードを除くeKカスタムに設定されたというニュースが目立つもの。「これまで軽自動車を持たなかった日産の場合、上級モデルからの“ダウンサイザー”が多いのに対し、軽自動車からの乗り換えが多く考えられる三菱車ではさほど需要は大きくないと判断していたものの、少なくない要望があったので新たに準備をした」というのが、このタイミングで新設となった理由であるという。

冒頭紹介のように“動力性能向上”というフレーズを用いるものの、実は今回はエンジン本体には手が加えられていない。一部改良で施されたのは、吸気のレイアウトやCVTの一部プログラムの変更。前者はエンジンへの外気取り込み口を、従来のエンジンルーム内から直接外気を吸い込める位置へと変更。高温時の空気密度低下による出力低下を防ごうというのがその狙いであるわけだ。