Amazon「プライム・フォト」×Synology NASで最強の写真保存環境を構築する
スマートフォンやデジカメで撮影した大量の写真の保存先として、NASは賢い選択肢の1つだ。現在市販されているほとんどのNASは、テラバイト級の容量を持つ(もしくは同等ドライブを自分で組み込める)ので、大量の高解像度データを保存できる上、LAN上のPCはもちろん、スマートフォンやタブレットからもアクセスできる。また2ドライブ以上のNASであれば、RAIDを組むことでドライブの故障時も復旧が容易だ(RAID 0を除く)。シングルドライブのHDDや、CD/DVDに焼いての保存では、中々こうはいかない。
さて、最近のNAS、中でもSynologyやASUSTOR、QNAPといった台湾メーカー製のNASは、さまざまなアプリを組み込むことで機能を拡張できるが、その1つにオンラインストレージとの同期がある。NASとオンラインストレージを同期させておけば、RAIDでは復旧不可能な装置自体の故障はもちろん、災害や盗難によるNAS本体の喪失にも対応できる。PCを経由せず、NASからクラウドに直接アップロードされるので、PCの電源を入れたままにしておく必要もない。
また、写真データの複製をオンラインストレージに置くことで、外出先からそれらを参照するのも容易になる。写真が自宅内のNASにのみ保存されている状態であれば、外出先から参照するにはダイナミックDNSなどの設定を行なう必要があるが、クラウドに複製があれば、そちらを直接参照すればよいというわけだ。親族との会席、同窓会、飲み会などで過去の出来事に話題が及んだ際、当時の写真をすぐに探してその場で楽しむなど、過去の写真資産を活用するにはうってつけだ。
これはQNAPのNASに用意されているバックアップ系アプリ。「AppCenter」からインストールできるこちらはASUSTORのNASに用意されているバックアップ系アプリ。「App Central」からインストールできる今回使用するSynologyのNASに用意されているバックアップ系アプリ。「パッケージセンター」からインストールできる。先の2社に比べると種類が少ないのは、1つのアプリが複数のオンラインストレージをサポートしているためさて、冒頭で紹介したAmazon Driveとの同期にいち早く対応したのが、SynologyのNAS「DiskStation」シリーズである。Dropbox、OneDrive、Googleドライブとの同期は殆どのメーカーが対応しているが、Amazon Driveとの同期に対応するのは、少なくとも筆者が今回の環境を構築した数カ月前の時点では、「DiskStation」シリーズのみだった(DSM 6.0以降で対応)。
SynologyのNAS「DiskStation」シリーズと、Amazon Drive(に含まれるプライム・フォト)を組み合わせれば、NASに保存した写真データがAmazonフォトにアップロードされ、以降も写真データを追加するたびに自動的に同期できる。1日1回や、1週間に1回といった定期バックアップではなく、ミラーリングに近い形で同期が行なわれるのもよい。同期の方向も選択できるので、もし専用アプリを使ってスマートフォンやタブレットから直接プライム・フォトに写真をアップロードしているのならば、逆にこれらをNASに自動ダウンロードして同期することもできる。
この組み合わせの最大のメリットは、なんといっても容量だ。通常であれば、テラバイト級の容量があるNASに対し、オンラインストレージの容量はせいぜい数GB~数十GB程度なので、NASの全データをまるごとアップロードするわけではないにせよ、写真データが大量にあれば、オンラインストレージの容量を増やすための有料契約は免れない。しかしプライム・フォトは容量無制限なので、プライム・フォトの利用資格であるAmazonプライムの年会費を除けば、ランニングコストは不要というわけだ。