ASCII.jp ZenBook Duo 実機レビュー = 持ち歩ける未来型の2画面ノートPCだった!!
ASUS JAPANは5月7日、2画面ノートPCのニューモデル「ZenBook Duo」を発売した。
本製品は世界初のデュアル4Kディスプレー搭載15.6インチノートPC「ZenBook Pro Duo」の弟分だ。14型フルHD+12.61型フルHDディスプレーや低消費電力が特徴のUプロセッサーを採用することで、小型化&軽量化&長時間駆動化を実現し、毎日モバイルできる2画面ノートPCに仕上げられている。
今回発売前の実機を借用したので、兄貴分のZenBook Pro Duoと比較しつつレビューしていくぞ!
ASUS JAPAN「ZenBook Duo」182,800円~
あのあこがれのマシンが小型軽量化Surfaceペンも使用可能!
ZenBook Duoは、第10世代(Comet Lake)の「Core i5-10210U」(4コア8スレッド、1.60~4.20GHz)/8GB(LPDDR3-2133)/512GB SSD(インテルOptaneメモリー32GB)を搭載する「UX481FL-HJ118T」(税込み18万2800円)、「Core i7-10510U」(4コア8スレッド、1.80~4.90GHz)/RAM 16GB/1TB SSDを搭載する「UX481FL-HJ122T」(税込み21万9800円)の2モデルが用意されている。
ほかのスペックは共通で、外部グラフィックスに「NVIDIA GeForce MX250」を実装。ディスプレーは14型フルHDカラー液晶(1920×1080ドット、ノングレア)と12.61型フルHD(1920×515ドット、ノングレア)を採用している。ZenBook Pro Duoは、Hプロセッサー、GeForce RTX 2060、そしてメインディスプレーに有機ELパネルとゴージャスなスペックだったが、この3点をグレードダウンしたわけだ。
通信機能は、無線LANがWi-Fi 6(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax)、Bluetoothがバージョン5.0を採用。有線LAN端子は装備されていない。
バッテリーは70Whのリチウムポリマーバッテリー(4セル)を内蔵しており、バッテリー充電時間は約2.4時間、バッテリー駆動時間はCore i5-10210U搭載モデルが14.3時間、Core i7-10510U搭載モデルが13.9時間とされている。
電源関連で残念なのがUSB Power Deliveryによる給電に対応していないこと。せっかく携帯性が向上しても、専用のACアダプターを持ち歩かなければならないのであれば魅力半減だ。2020年に発売されるノートPCにUSB Power Deliveryは標準装備だと思う。
なお、ZenBook Pro Duoとは異なりZenBook Duoには「ASUS Pen」が同梱されていないが、手持ちのデジタイザーペンを試してみたら新旧Surfaceペンを利用できた。セカンドディスプレーではタブレット感覚で筆記できるので、自己責任での利用となるがSurface対応のペンを用意することを強くオススメしたい。
メインディスプレー、セカンドディスプレーのどちらでもSurfaceペンを使用できた
本体以外に、ACアダプター、電源ケーブル、説明書類、スタンドが同梱されている
ZenBook Pro Duo比でフットプリントは約81%重量は約66%に小型&軽量化
ZenBook Duoの本体サイズは323×223×20.4mm、重量は約1.66kg。ZenBook Pro Duoが359.5×246×24mm、約2.5kgだったので、フットプリントは約81%、重量は約66%に小型&軽量化されたことになる。これだけ軽くなれば、毎日肌身離さず持ち歩く気になるというものだ。
インターフェースは、USB 3.1 Type-C Gen2×1(最大10Gbps)、USB 3.1 Type-A Gen2×1(最大10Gbps)、USB 3.0×1、HDMI、microSDXCメモリーカードスロット×1、3.5mmヘッドセットジャック×1、電源端子を装備している。
ただし、USB 3.1 Type-C Gen2端子はデータ転送のみサポートしており、映像出力と本製品への給電には対応していない。
メインディスプレー、セカンドディスプレーの輝度や色域は公表されていないが、ディスプレーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、輝度はメイン、セカンドともに250cd/平方m前後、色域はメインがsRGBカバー率98.9%、sRGB比100.2%だった(セカンドディスプレーの色域はエラーが出て計測できなかった)。
DCI-P3カバー率100%の有機ELパネルを搭載するZenBook Pro Duoには及ばないものの、ZenBook DuoもモバイルノートPCとして十分な色域が確保されている。
キーボードはバックライトを内蔵した87キー日本語仕様で、キーピッチは実測17.5mm前後、キーストロークは実測1.5mm前後。右側にタッチパッドが搭載されているぶん、14型ノートPCとしてはややキーボードが窮屈なのはやむを得ない。
本体天面。ASUS製品でおなじみのロゴを中心としたスピン加工が施されている
本体底面。ゴム足は前後ともにバータイプ。キーボード面にほとんどスペースがないので、ほとんどのシールが底面に貼られている
エコー除去、ノイズサプレッション、指向性録音機能を備えたアレイマイクはディスプレー上部に内蔵されている
右側面にはmicroSDXCメモリーカードスロット×1、3.5mmヘッドセットジャック×1、USB 3.0×1、左側面には電源端子、HDMI、USB 3.1 Type-A Gen2×1(最大10Gbps)、USB 3.1 Type-C Gen2×1(最大10Gbps)が配置されている
ディスプレー上部には、92万画素ウェブカメラとWindows Hello対応IR(赤外線)カメラが内蔵されている
バックライトを内蔵した87キー日本語仕様キーボードのキーピッチは実測17.5mm前後
キーピッチは実測1.5mm前後
キーボードバックライトは3段階で明るさを調整できる
ディスプレーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したメインディスプレーの色域はsRGBカバー率98.9%、sRGB比100.2%
ACアダプターの仕様は、入力100-240V~1.5A、出力19V/3.42A、容量65W
本体の実測重量は約1650g
ACアダプターと電源ケーブルの実測重量は約285.6g
ScreenPad Plusの使い勝手はZenBook Pro Duoと同等!
ScreenPad Plus自体の使い勝手はZenBook Pro Duoと変わらない。ウインドーのタイトルバーをつかむと、もう片方のディスプレーにアプリを移動させる「App Switcher」、ランチャーにアプリをピン留めする「Add」、メインとセカンド両方にアプリを最大化表示する「ViewMax」アイコンが表示されるので、素早くアプリウインドーを配置できる。
また、セカンドディスプレー左側の透明アイコンをクリックすると、ScreenPad Plusのランチャーが起動して、各種ユーティリティーを利用できるという点も同じ。メインが1920×1080ドット、セカンドが1920×515ドットなので、ZenBook Pro Duoより解像度は低いが、ディスプレーのスケーリングを調整すれば十分許容範囲だと考える。
ZenBook Pro Duoのように専用パームレストが付属していないので、キーボードと机の段差が気になる方がいるかもしれないが、そのようなユーザーのために角度を調整するスタンドが付属している。元々エルゴリフトヒンジが採用されているのでディスプレーを開けばキーボード面に傾斜を付けられるが、スタンドを装着すればさらに傾斜を深くできる。スタンドは何回でも貼り直せるので、本製品を購入したら一度使い心地を試してみるといいだろう。
このほかの変更点としては、タッチパッドがダイビングボード構造からボタン分離式に変更され、テンキーパッドモードが省かれたことが挙げられる。ScreenPad Plusのユーティリティーにテンキー代わりの「Number Key」が用意されているが、テンキーの利用頻度が高いのであれば外付けのUSBテンキーを使ったほうがいいだろう。
ZenBook Pro Duoはメインディスプレーがグレア(光沢)だったが、ZenBook Duoはメイン、セカンドともにノングレア(非光沢)になった
ノングレア(非光沢)ディスプレーのほうが、タッチ操作した際に手脂が目立ちにくい
ウインドーのタイトルバーをつかむと「App Switcher」、「Add」、「ViewMax」のアイコンが表示され、マウスカーソルをそのうえで放すと操作が実行される
セカンドディスプレー左側の透明アイコンをクリックすると、ScreenPad Plusのユーティリティーが表示される
ランチャーには、ショートカットキーを入力する「Quick Key」、手書き文字を認識する「Handwriting」、テンキー代わりに使用する「Number Key」などを用意。また、ASUSアプリポータル「AppDeals」、管理ユーティリティー「MyAsus」、音楽ストリーミングサービス「Spotify」や「KKBOX」などのアイコンも登録されている
エルゴリフトヒンジはキーボードにタイピングに適した傾斜を付けるだけでなく、底面の冷却効率を向上させる役割も担っている
スタンドは底面に貼り付けておき、ヒンジ側に巻き取ることで傾斜を深くできる
タッチパッドはダイビングボード構造からボタン分離式に変更された。また、それにともないテンキーモードが省略されている
速度はさすがに兄貴分に及ばずただしバッテリー駆動は圧勝の13時間!!
それではCore i7-10510U搭載モデルのベンチマークスコアを見てみよう。CPUベンチマーク「CINEBENCH R20」のCPUスコアは1536 pts、CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15」のCPUスコアは760 cbだった。
3Dベンチマーク「3DMark」のTime Spyは1018、Fire Strikeは2792、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 7.0.0」のシーケンシャルリード(Q8T1)は1926.00MB/s、シーケンシャルライト(Q8T1)は1770.00MB/sという結果だった。
「Core i9-9980HK」(8コア16スレッド、2.40~5.00GHz)を搭載するZenBook Pro Duoのベンチマークスコアと比較すると、ZenBook DuoのCINEBENCH R15のCPUスコアは約45%、3DMarkのTime Spyは約17%、Fire Strikeは約20%ということになる。弟分というよりも、弟子と表現するべき性能差だ。
しかしバッテリー駆動時間については、ディスプレー輝度50%という条件で、ZenBook Pro Duoの約3時間12分に対して、ZenBook Proはその約4倍に相当する12時間58分動作した。ほぼ同じデザインの2画面ノートPCだが、利用シーンはまったく異なると捉えるべきだ。
ZenBook Duoは「ファンモード」に「自動」と「サイレント」が用意されている。ZenBook Pro Duoにあった「ターボ」は選べない
CPUベンチマーク「CINEBENCH R20」のCPUスコアは1536 pts
CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15」のCPUスコアは760 cb
3Dベンチマーク「3DMark」のTime Spyは1018
Fire Strikeは2792
ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 7.0.0」のシーケンシャルリード(Q8T1)は1926.00MB/s、シーケンシャルライト(Q8T1)は1770.00MB/s
モバイル性能を重視する方にZenBook Duoは理想の2画面ノートPC
2画面ノートPCには、開くだけでデュアルディスプレー環境で作業できるという大きなメリットがある。また、モバイルディスプレー接続時のように広いスペースも不要だ。
ZenBook Pro Duoほどのパワーは必要なく、携帯性やバッテリー駆動時間などのモバイル性能を重視する方にZenBook Duoは理想のマシンなのである。
USB Power Deliveryによる給電に対応していない点だけが本当に残念。しかし、純正の電源ケーブルを、3ピンソケットを備えたサードパーティー製と交換すれば、ACアダプターはコンパクト&軽くなる。このようなカスタマイズで解決するのもひとつの手だ