「Surface Studio」ハンズオンレビュー:試して分かるその価値

これならMacからの乗り換えてもいいかも?

10月26日に行なわれたMicrosoft(マイクロソフト)のイベントで発表されたSurfaceブランド初の一体型のデスクトップPC「Surface Studio」。タッチディスプレイを搭載し、特殊なヒンジ構造でディスプレイを折りたたんで書き込めるという特徴を引っさげ、iMacに立ちはだかろうとしています。お値段は最低でも3000ドル(約31万円)からと、かなり強気の価格設定ですが、実際に試してみると、それだけの価値に見合う製品であることがわかりました。

さっそく米GizmodoのChristina Warrenによるハンズオンレビューをお届けします。

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一見すると、3:2型の28インチディスプレイを持つSurface Studioは広々していて、とても美しいです。ディスプレイは明るく精彩で、まるでこの中に飛び込んで泳げそうなくらいです。また、厚さも12.5mmと非常に薄い上に、全体がタッチディスプレイになっているのは改めて感嘆します。Surface Studio専用の「Surfaceペン」は磁石で側面にくっついて、ディスプレイの厚さとほぼ同じ太さでぴったり。とにかく薄い、最高に薄い…!というのが最初の印象でした。

Surface Studioを立たせた姿はiMacにそっくりです。けれども薄いベゼルにスルッと滑らかな背面、ワイヤレスでキーボードとマウスとペアリングする姿はまさに「オールインワン」という感じです。iMacと違うところは、USB 3.0ポート、電源、ミニディスプレイポートといった物理インターフェース類は全てボトムスタンド側に搭載されている点。ボトムのスタンドから2本のクロムメッキのアームでディスプレイを支え、インターフェース類は完全にディスプレイの後ろに隠れています。

Surface Studioのディスプレイを引き下げて、テーブルの上にタブレットを置いたような状態にすると、そのままタッチディスプレイとして使えるのですが、この瞬間は「おお…これはキタ…!」と感動しました。まず、ディスプレイはびっくりするくらい軽く(実際は5.8kgなのですが)、いわゆる「ゼログラビディヒンジ」のデザインは、軽く片手だけで20°の角度まで押し下げることができます。もっと正確に調節したい場合は両手を使った方が安定しますが、片手でも十分操作可能でした。

画面を立てた状態では、ゲームをしたり、文書や写真の編集に適していますが、寝かせた状態でこそSurface Studioの持ち味が生きる感じがします。3:2型のアスペクト比はちょっと珍しく感じますが、左右に並べて2つのモニターとして使う時に、この比率が適していると感じました。

「Surface Studio」ハンズオンレビュー:試して分かるその価値

画面の解像度は5K以下でiMacより少し劣っていますが、ほとんど気がつかないレベルです。ディスプレイに近づいて作業したとき、画面の美しさを改めて実感します。

Surfaceペンは、タッチスクリーン上のマウス代わりになるのですが(むろん指でも使える)、Surface Pro 4やSurface Bookのように、ペンの反応は極めて快適です。ワコムの約30万円のCintiq 27QHDの筆圧感知は2024段階(Surfaceは1024段階)とより優れていますが、タブレットを使って仕事をするようなクリエイターでなければ、Surfaceペンも充分滑らかで反応も良いです。

既存のSurfaceシリーズと同様、ディスプレイに何かを描くときは、Surfaceペンは入力情報を常に「キープ」してくれています。また、ディスプレイに腕をのせていてもその圧力に反応することはなく、ペンで描くことに集中することができます。Surface Studioの大画面を使って描く体験は、他のデバイスに代えがたい没頭感がありました。まるでキャンバス、もしくは写真の中に自分が入り込んだかのような気持ちになります。

さらに「Surfaceダイヤル」という新しいツールがSurface Studio用に開発されました。追加で100ドル(約1万円)となりますが、これもなかなか良かったです。デスクの前に座って、ダイヤルを回して画面を滑らかにスクロール。例えばマウスがブラシツールを選択していたとしたら、Surfaceダイヤルをぐるぐる回してブラシのサイズを調節することができます。また、カラーツールを選択していたとしたら、Surfaceダイヤルを回して、カラーパレットから色を選ぶ事が出来ます。さらにダイヤルのボタンを押してホールドすると、放射状のツールメニューが出てきて、他の機能やオプションに簡単にアクセスできます。

ダイヤルをスクリーンに置いた状態での操作も斬新でした。トップのボタンを押してホールドすると定規やカラーウィールが現れ、それらの機能に簡単にアクセスできます。ダイヤルを回すとさらに色を選ぶことができたり、定規の方向を変更することができます。ダイヤルにはハプティック(触覚エンジン)が組み込まれているので、上部をスワイプすると、その動きを「感じる」ことができます。

今回、Surface Studioを時間をかけて試し尽くしたわけではありませんが、マシンはとても速く、そして反応も良かったです。価格は3000ドル(約31万円)からと、良いお値段ではありますが、それくらいの価値はあると思いました。

Macユーザー歴が長い自分としても、これを機にWindows 10に乗り換えても良いくらい。プロフェッショナルのクリエイターにとっても(明らかにSurface Studioはプロフェッショナルユースに作られているわけですが)、テーブルの上にスクリーンそのものを横たわらせたり立たせたりして作業できるという仕組みは、新しくて楽しい体験を提供してくれると思います。

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Christina Warren - Gizmodo US[原文](mayumine)