設備費0円で自宅に太陽光発電と蓄電池も!? 沖縄電力「かりーるーふ」を見てきた
CO2排出量の多い石油や石炭発電を「なんとかしたい」沖縄電力
美しい海を持つ沖縄には、自然を大切にする人が多い。もちろん沖縄電力もそうだ。現在、沖縄本島の電力は、石炭発電所2カ所、重油発電所2カ所、最新のLNG発電所1カ所で賄っている。川が少ない沖縄にあっては、本州のような水力発電所がない。また数ある離島ではディーゼル発電機を用いているほか、実験的に風力を使っているところもあるという。
沖縄本土の発電所。最新型のLNG発電所も導入されているが、まだ1カ所のみとなっている沖縄には原子力発電所もなければ、火山の熱を使う地熱発電もない。沖縄電力としての直近の課題は、CO2排出量の多い石炭や重油を燃料とする発電所を、CO2排出量の少ないLNG発電所に切り替えること。
発電方式の違いによる単位電力あたりのCO2排出量。沖縄電力が導入しているのは「LNG火力」でも高効率の「コンバインド」タイプ。コンバインドタイプのLNG火力に変えるだけで、石炭の50%、石油の64%までCO2を削減できる(出典:一般財団法人 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」より)とはいえ、おいそれと発電所を建て直すわけにもいかないので、「沖縄らしさ」を活かした太陽光発電を普及させようという取り組みも並行している。その手段のひとつが「かりーるーふ」というわけだ。
「南国で太陽がさんさんと輝くから太陽光?」と思うかもしれない。しかし沖縄は毎年台風の経路になっているため、それほど気象条件がいいというワケではない。
「沖縄らしさ」とは台風の通り道であるがゆえ、住宅がコンクリート製の数階建てという点だ。しかも本州で一般的な三角屋根ではなく、コンクリートでできた平たい屋根なのだ。言うなれば、屋上のようになっている。
沖縄電力は、この沖縄独特の屋根に太陽光パネルをのせて発電しようというのだ。一戸一戸の発電量は小さくても、数を集めれば大きなエネルギーになる。
沖縄の多くの住宅は、コンクリート製で平らな屋根か、斜めの屋根がついている。本州のような三角屋根の住宅は少ないかりーるーふを導入中の住宅沖縄電力にとっては、巨大な太陽光発電所を作る土地を購入せずとも太陽光発電を導入できるというメリットがある。顧客にとっては自宅にタダで太陽光パネルを設置でき、電気代の割引や停電時の予備電源設備までタダで手に入る。お互いにメリットがあるウィンウィンのサービスなのだ。