香りのプロ・調香師が解説する、暮らしの中の「香り」と「生活臭」の関係

sato

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友人の家にお邪魔し、ふと良い香りがすると、なんでもないインテリアもどこか良く見えてくるし、細かいところまで気を遣っている印象を受ける。それとは逆に、なんだか違和感のあるにおいがすると、どれだけこだわった部屋でさえもイメージダウンするし、その人に対して持っていた印象もちょっと変わってしまう。

部屋づくりでの重要なポイント「におい」。でも、何から手をつけたら良いのか分からないのが正直なところ。

ということで今回は「香り」のプロである調香師の方に、暮らしの中での“香り”と“生活臭”の関係について、お話をうかがった。

500種類以上の香りを操る「調香師」という職業

調香師 村井千尋さん香水好きが高じて、香りの原料や調香技術の専門教育を受け、調香師に。香水はもちろん、日常のあらゆる場面になくてはならない“香り”の正確な知識と文化の普及に努めている。各方面でフレグランスや香料セミナーの講師、カウンセリングサービス、国内大手企業のオリジナルの香りを制作(国内大手航空会社、五つ星ホテル、等)。http://www.kouryoudl.com/

普段、あまり馴染みのない「調香師」という仕事。聞いてみると、“香りをつくる”という作業は、どうやら我々が想像する以上の複雑さを持っているようだ。

例えばローズの香りといっても、実際に「ローズの香り」という香料があるわけではなく、何十種類もまぜて香りをつくっていきます。本来は単品香料という香料のいちばん小さな単位があり、アロマテラピー専門の方だと、植物性の香りを150種類、調香師はそれに加え最低でも合成品300~400種類、合計で500種類以上の香りを扱います。

天然の香料だと育つ環境などによっても香りが違ってくるので、それこそワインのように、香りにも「当たり年」みたいなことがあるんですよ。

香りに関しても「当たり年」があるとは。見た目はただの液体にも見える香料だが、その中身はなんとも奥が深い……。

日常生活における「部屋のにおい」の影響とは?

それでは本題。「部屋のにおい」は、日常生活にどのような影響があるのだろうか?

気づかない方も多いのですが、基本的に人は部屋のにおいを“背負って”外に出ています。部屋の中のにおいが、知らぬ間に衣類や髪に付着してしまうのです。

その原因は「嗅覚疲労」という現象。人は一定時間同じにおいを嗅いでいると、そのにおいがわからなくなってしまいます。そのまま部屋に滞留するにおいを背負って外に出てしまい、「あれ? この人、部屋のにおいがする」ということになるんです。

なるほど確かに、例えば友人の家に遊びに行った時、家から友人と同じにおいを感じたことがある人もいるだろう。“背負っている”とはこのことだ。

そして自宅のにおいが衣類に付いていることを知らない友人は、まさに「嗅覚疲労」に陥っていることになる。

嗅覚疲労が起きるまで・回復するまでは同じ時間が必要となるのですが、家はずっといる場所ですよね。特に壁紙やファブリック類にはにおいが付きやすく、仮に空気を入れ替えても、そこに置いてある家具や衣類にはにおいが付いたまま。嗅覚疲労から脱するためには、物を取り除くか、付いたにおいを消すか、それしかないんですよ。

でも、人間生きていれば誰でもにおいがするもの。うまくケアしていくことが大切です。

部屋別、香りを取り入れる時に注意すべきポイント

部屋のにおいが知らず知らずのうちに外へ出てしまうことは、概ね理解した。そして「嗅覚疲労」は人間誰しも陥る現象なので、ここは改善し難い。

であれば、「部屋のにおい」をどうにかするしかない!

単に「香りを取り入れる」と言っても、まずは住んでいる方が好きな香りということが大前提です。「香り」には好みがあり、好きではないと使い続けるのは難しいですからね。じっくり自分に合った香りを選んで、試してみてください。

それでも初心者の方は分からないと思うので、簡単に気をつけたいポイントを挙げていきます。

①「リビング」には誰が来ても悪い印象を与えない香りを

リビングはお客さまが来ることが多い場所なので、なるべく好き嫌いの少ない香りをおすすめします。そうした“万人受け”という点で「フローラル系」の香りがおすすめですね。柔らかく優しい、また華やかで清楚な印象を与えます。

香りのプロ・調香師が解説する、暮らしの中の「香り」と「生活臭」の関係

フローラル系というのは、他の香調(香りのカテゴリー)に比べて、誰しもが比較的日常の中で体験することの多い系統です。人間は過去に経験したことがある香りを、より心地良いと感じる傾向にあります。

②「ベッドルーム」には入眠作用が高い香りを

汗のにおいや生活臭が気になるベッドルームには、フレッシュな「ハーバル系」がおすすめです。ハーブの香りの中には入眠作用が高いものが多いという点もふまえ、寝室には落ち着く香りを取り入れたいですね。

③注意深くにおいを気にしたい「玄関」「浴室」「ダイニングキッチン」

人は第一印象が大事といわれますが、部屋も一緒。玄関は非常に大事なエリアです。「あの人の玄関臭かったな」なんて、ずっと言われ続けてしまわないように気をつけたいですね。

浴室は閉め切っていることが多く、常に湿気がこもっている状態です。湿気が多くなると菌が繁殖しやすいため、においが強くなります。

そして香りは「長期記憶」ともいわれています。見た目(視覚)はすぐに忘れますが、香りは脳が強く覚えているんですよ。

香りやにおいは「長期記憶」されるという。これは覚えておきたい大事なキーワード。

街中で「元カノ(元カレ)」のにおい! と気づくことがあると思いますが、あれは脳が強く覚えている証拠ですね。嗅覚は脳の「記憶」「感情」部分と密接な関係なので、長期記憶が起こるのです。

料理や食材のにおいで混雑する「ダイニングキッチン」も、当然侮れない。

食事をする場所でもあるので、香りの強いものは避けた方が無難です。食事をしない時間も多いので、心地良く過ごせるよう、においケアはしておきたいですね。

どの部屋も香りに気を遣うことは間違いないが、特に「ベッドルーム」や「玄関」「ダイニングキッチン」は常に生活臭に悩む場所。

まずはその生活臭を、除去するところからスタートしよう!

不快な生活臭の原因と対策アイテム

それでは、部屋の中や外出先で不快な印象を与える「生活臭」の原因から探っていこう。

料理もそうですが、生乾きの洗濯物のにおいも原因のひとつ。きれいに洗ったつもりでも菌は残っていて、生乾きの状態で繁殖することでにおいを発するようになります。

それと不快なにおいの原因は、「汗」であることが多いです。その「汗のにおい」を左右するのは、体内に摂り入れる食べ物。特に肉、油もの、お酒、それとタバコも、汗のにおいの原因になりやすいのです。

特に寝室のにおいの大きな原因は、ベッドカバーなどに浸みこんだ「汗」。布の面積が広い分、影響力が大きいんですね。

ちなみに、人間は食べたり飲んだりしたものの影響で、体から発するにおいが変わるという。

例えば、アルコールを飲み過ぎた翌日には、体から甘いにおいや、青くツンとするにおいがしたり、お肉を食べ過ぎた翌日にはアンモニアの獣のようなにおいがしたりします。でも、においを気にして食べたいものや飲みたいお酒を我慢するのも悲しいので、楽しんだ後はきちんとケアしていただくのが良いと思います。

もちろん、「汗」以外の生活臭ケアも忘れずに。

生ゴミは可能な限り早めに廃棄、洗濯機の除菌、寝室の換気など、すぐにでも実施できることはある。他には部屋に放り投げた布類をこまめに洗うなど、部屋を片付けるついでに、においのケアもできればスムーズだ。

村井さんがおすすめしてくれた“生活臭をリセットさせる”対策アイテムは、白元アースの『ノンスメル清水香』。ホテル業界のプロも認めた業務用消臭剤から誕生した、本格派の衣類・布製品・空間用スプレーだ。

アルコール濃度の高さと独自処方の消臭力で、繊維についた悪臭物質を溶かし無臭にしてくれるという優れもの。村井さんはこのアイテムの「速乾性」についても言及する。

汗はかいた直後よりも、5~6時間経った後の方が菌の繁殖が多く、においがしてきます。においが気になり始めた時では遅いので、その前にきちんとケアすることが大切。洗濯できない洋服などは、帰宅後すぐにケアしたいですね。毎日は洗えないベッドカバーも、においが蓄積する前に日々しっかりケアしましょう。

その点この『ノンスメル清水香』は速乾性が高いのが良いんですよ。帰った後シュッとしておけば、すぐに揮発して消臭・除菌効果で菌の繁殖も抑えるので、後々のにおいの発生を防いでくれると思います。

『ノンスメル清水香 無香タイプ』をカーテンやソファ、ベッドカバーなどにスプレーするだけで、生活臭を除去して無臭に近い状態にリセットしてくれる。

香りを取り入れるには、まず生活臭を取り除くところからですね。においの少ないフラットな状態であれば、本来の香りが楽しめます。

『ノンスメル清水香』は無香料タイプ以外も展開しているので、部屋ごとに使い分けてみるのもおすすめ。

リビングに使いたいのは『ノンスメル清水香 フローラルフレッシュの香り』。ピンク色の爽やかなパッケージが目印だ。

毎日は洗えないベッドカバーや枕には青いパッケージの『ノンスメル清水香 ハーバルフレッシュの香り』を。村井さん曰く、布団が肩や背中のあたりに密着する部分を中心に。温度が高く汗をかきやすいため、重点的に吹きかけると良いそうだ。

香りを使いこなすと、自分自身にも良い効果が

周囲へのイメージづくりにも使えますが、香りには自分自身に働きかける効果も。帰ってきて好きな香りがしたり、寝る時に落ち着く香りがすると、気持ち良くリラックスできるので、次の日の活力にもなりますよ。

自分のためにも、ぜひ好きな香りを見つけて楽しんでいただきたいですね。

誰しも自宅のにおいを“背負って”いることは前述の通り。部屋のインテリアや家具、ラグなどにこだわっていても、「におい」で悪い印象を与えてしまうこともある。定期的なケアで生活臭を抑え、好みの香りを取り入れることで、目に見えない部分までこだわりの行き届いた生活を実現しよう。

ノンスメル清水香 [白元アース]

Photographed by Kayoko Yamamoto

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ライター/コピーライター。広告制作会社と化粧品メーカー宣伝制作部を経てフリーランス。2ヶ月間旅に出てみたり、2泊3日で山に登ってみたり、家ソトも大好きだけど、いちばんのお気に入りスポットは我が家のソファーの上。