冬の喉“イガイガ”対策に欠かせない、「のどあめ」と「トローチ」、違いは何?
のどあめとトローチの違いは?
空気が乾燥する冬は、喉の不調が出やすくなるものです。咳(せき)が出たり、痛みやイガイガを感じたりしたとき、コンビニやドラッグストアで「のどあめ」や「トローチ」を手に取る人もいると思いますが、両者について「どちらがいいのか悩むときがある」「予防にも効く?」などの疑問を持つ人もいるようです。【画像】イガイガするのはどの部分? 喉の奥はこうなっている のどあめとトローチの違いや、選び方のポイントについて、内科医の市原由美江さんに聞きました。
のどあめは「食品」、トローチは「薬」
Q.まず、喉の不調を感じる原因やメカニズムを教えてください。市原さん「喉の痛みやイガイガした感じがするのは、空気の乾燥▽ウイルスや細菌の感染▽喉の酷使、などが原因です。ウイルスや細菌が喉に侵入すると、喉の粘膜がこれらを外に追い出す働きをしますが、空気が乾燥しているとこの働きが低下し、感染しやすくなるのです。喉の痛みやイガイガが刺激になり、咳が誘発されることもあります」Q.のどあめとトローチの違いは何でしょうか。市原さん「おおざっぱに分類するとしたら、のどあめは基本的には『食品』で、トローチは基本的には『薬』といえます。ただし、のどあめの中にも医薬品として認められているものがあり、トローチの中にも医薬品に該当しないものがあるので、重なり合う部分もあるといえます。厚生労働省が定めている医薬品の規格基準書『日本薬局方』には『トローチ剤』という項目があり、『口腔内で徐々に溶解または崩壊させ、口腔、咽頭などの局所に適用する口腔用錠剤』と定義されています。一方、のどあめは記載されていません。また、トローチは、病院などで処方箋を書いてもらう処方薬と、市販薬、医薬部外品(医薬品ではないが効果が認められている)があります。一方、のどあめは、食品と医薬部外品、市販薬があります」Q.のどあめとトローチの分類について、もう少し詳しく教えてください。市原さん「まず、のどあめは、有効成分の有無によって2種類に分けられます。喉の痛みに対する効果や効能が認められていない『お菓子の一種であるあめ』と、有効成分による効果が認められている『医薬部外品または市販薬のあめ』です。有効成分の入っていないのどあめは、なめたとき、喉の爽快感や潤いで症状が緩和したように感じます。食品なので、1日の摂取量は決まっていません。一方、医薬部外品や市販薬のあめは、炎症を抑える成分や殺菌成分が入っているので、喉の痛みへの効果はありますが、処方薬と同じ成分でも含有量が少なく、効果としてはマイルドです。使用する年齢の制限や1日の使用量に決まりがあります。病院で処方されるトローチには、殺菌成分が含まれています。トローチは市販のものもありますが、それよりも有効成分の含有量が多いので、市販のものよりも効果が期待できます。こちらも、年齢制限や1日の使用量を守る必要があります」Q.喉に不調が出たとき、のどあめとトローチのどちらを選ぶのがよいのでしょうか。市原さん「単に喉が乾燥しているだけであれば、のどあめでも効果はあります。風邪の初期症状であれば、早めに、有効成分の含まれているトローチを使うことをおすすめします。より効果を望むなら、病院で処方してもらうトローチがよいでしょう。もちろん、水分をよく取るなど喉を乾燥させないようにするのは必須です」Q.のどあめやトローチは、喉の不調の予防にも効果があるのでしょうか。市原さん「のどあめは唾液の分泌を促すので、喉を乾燥させないという点においては、予防効果はあると考えられます。しかし、取り過ぎるとカロリーが気になるので、唾液の分泌を促すだけであればガムでもよいでしょう。トローチも唾液の分泌を促しますが、有効成分が入っているので、予防の段階で使うことはおすすめしません」Q.のどあめやトローチを効果的に使用するポイントや注意点とは。市原さん「喉に違和感があったら早めにのどあめを、もっと効果を出したければトローチを使うとよいです。のどあめもトローチも、有効成分をじっくり効かせるという意味で、かまずになめた方がよいと思います。また、有効成分が長く喉にとどまる方が効果的なので、なめた直後に水分や食べ物を口に入れない方がよいでしょう。のどあめは予防にはなるものの、カロリーがあるので取り過ぎには注意しましょう。トローチは殺菌作用があるので有効ですが、これだけで完全に治るとは言い切れません。トローチに頼り過ぎず、水分をよく取って喉を潤す▽加湿器などを使って喉を乾燥させないようにする▽できれば、炎症を抑える作用のあるうがい薬を利用する▽風邪の初期症状としての咽頭痛(喉の痛み)に効果のある漢方薬を利用するなど、悪化する前にできることを試しましょう」
オトナンサー編集部