家電の高温蒸気で乳幼児やけど 反射動作遅く重症化も
炊飯器や電気ポット、スチーム式の加湿器といった、蒸気を出す家電で乳幼児がやけどをする事故が相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。中には皮膚移植が必要なほど重度のやけどを負う事故も起きている。
同センターによると、家電から出る蒸気で0~3歳児がやけどをした事例は、今年6月までの約5年間で少なくとも57件寄せられている。「1歳2カ月の男児が電気炊飯器の蒸気口に両手を置き、手指にやけどを負って24日間入院した」「1歳の男児がスチーム式加湿器に触れて手にやけどをし、皮膚移植の手術をした」など。うち39件で医療機関での治療が必要だった。
センターの調査では、炊飯器や電気ポットの蒸気口の温度は99度で、10センチほど上方でも78度だった。ヒーターで水を加熱し蒸気を出すスチーム式加湿器では、蒸気口の温度は72度だった。
事故のリスク、減らすためには
事故を防ぐため、蒸気の温度や量を低減する機能がある家電もある。こうした機種では、蒸気口の温度は約30~40度だった。センターの担当者は「やけどの事故は対策機能がない機種で起こる場合が多い」とみる。
センターが0~5歳の子どもがいる保護者5千人を対象に実施したアンケートでは、約1割の保護者が「乳幼児がやけどをした/しそうになった」と回答。約4割が家電から出る蒸気による乳幼児のやけどを想定していなかった。
事故を防ぐためには、家電を高い位置に置いたり、子どもが家電のある場所に近づかないよう柵を設置したりすることが大切だ。アンケートで家電の設置場所を聞いたところ、床から90センチ以上高い場所に設置した家庭で乳幼児のやけどが起こりにくい傾向があった。ただ、乳幼児が電源コードを引っ張って家電を落下させてやけどを負う事故も起きているため、注意が必要だという。
センターによると、乳幼児は、高温の蒸気に触れた際の反射動作が大人に比べて遅いため、やけどが重傷化しやすいという。「子どもが蒸気口に手を置いたまま泣いていた」という事例もあった。
担当者は「高温の蒸気によって重篤なやけどを負うことがあるということを認識してもらい、家電を購入する際には『蒸気レス』や『蒸気カット』など、対策機能を示したものを検討してほしい」と呼びかける。(前田朱莉亜)