オブジェのように美しい加湿器が話題 技術とデザインが共存する「カドー」の独自戦略とは

 家電女優の奈津子です。ありきたりなデザインが飽和する加湿器市場において独自路線を突き進むのが、「カドー(CADO)」の加湿器「STEM」です。土の中の養分と水分を植物全体へ届ける“茎”がモチーフのデザインで、愛用しているわが家へ訪ねてくる友人達が「このカッコいいオブジェ、何?」と口にしていくほど斬新なデザインです。昨年末にはIoT搭載の新モデルを発売し話題を集めました。

 その唯一無二の世界観でファンを魅了する「カドー」は、社員数15人ながらも全体の19年の売り上げは前年比の10%増、加湿器の販売台数は同15%増となり、ジワジワと認知度も向上しています。高いデザイン性と技術力を融合させた空調製品を多く手掛け、進化を重ねる「カドー」に迫るべく金崎泰真マーケティング部部長にへインタビューしてきました。

「ポリシーに共感してもらうこと」を重要視

奈津子:「カドー」製品の勢いを増していくためには、どのような戦略があったのですか。

金崎泰真マーケティング部部長(以下、金崎):他メーカーと比べて情緒的な価値を大切にしています。例えば、お客さまへスペックだけを押し出すのではなく、ライフスタイルの提案もしています。今は洋服屋さんでもインテリア用品も置いているなど、カテゴリーを限定しない形態が増えていますよね。われわれとしても生活空間や暮らしの質の提案を目指していて、昨年12月にはデンマーク発の歴史あるインテリアブランド「フリッツハンセン(FRITZ HANSEN)」のショールームに新製品を置き、期間限定の展示会を行ないました。また、店頭だけでなくオンラインサイトでの売り上げも伸ばしています。「カドー」の製品に対して、お客さまがさまざまな形で出合えることを大切にしているんです。

 モノが溢れる世の中で、何を選べば良いのか分からないというユーザーも多いと思います。なので、製品の放つ佇まいからメーカーのポリシーまで感じとっていただいて共感してもらうことが重要だと考えています。ただ、奇抜さだけの意味のないデザインは全くなくて、「STEM」であれば高い位置からミストが噴射されることで加湿効率が追求できるといったように、デザインと機能がお互いを高め合うために共存しているのは「カドー」ならではだと思います。

オブジェのように美しい加湿器が話題 技術とデザインが共存する「カドー」の独自戦略とは

ファストファッションではなく、デザイナーズブランドを目指している

奈津子:確かに「STEM」を使用していると、デザインの美しさに心が満たされるだけでなく衛生面への配慮や、A4用紙ほどの設置面のコンパクト性など、精密なロジックの上に成り立ったデザインであることを実感します。市場へ参入してからは約6年ということですが、大きな転換点はどこにありましたか。

金崎:最初は「LEAF」という空気清浄機の発売から始まったのですが、空気清浄機の国際的な基準AHAM(エーハム)で、世界ナンバーワンの空気清浄能力のお墨付きをもらえたのは大きかったですね。

 ヨドバシカメラさんや蔦屋家電さんが大きく取り扱ってくれるようになったのも転機でした。しかし、テレビCMを始めとする商業的な宣伝活動は積極的には行なっていません。まだベンチャーブランドと言う立ち位置で、そこに大きなリソースを割けないという理由もありますが、実際に使っていただいているお客さまからの評価が一番重要だと考えているからです。おかげさまで、今ではクチコミによる広がりを多く頂いています。

奈津子:そのようなスタンスは製品への自信の現れでもあるのでしょうね。TBS系列「マツコの知らない世界」でマツコ・デラックスさんの愛用品として「STEM」が紹介され話題を呼んでいますよね。

金崎:「こういう製品が欲しかった」という声を頂くことは多いですね。「カドー」の思いを広げていきたいという一方で、大手メーカーさんのようなマス規模を目指している訳ではありせん。プロダクトの意味やストーリーをきちんと伝えていき、時代性に左右されない質を深めていくことを大切にしています。

 ファッションで例えるならば、ファストファッションではなくデザイナーズブランドのような立ち位置を目指しています。僕らで言えば、デザイナーであり副社長の鈴木健の独自の感性を活かすことですね。その上で商品開発から販売に至るまでの一連のコミュニケーションをどうブラッシュアップさせていけるのかをチーム全体で考えています。

奈津子:カドーのコンセプトは「We design for atmosphere.(空気をデザインする)」と言うものだそうですね。呼吸って普段何気なくしているものですが、健康に直接に結びつくものだからこそ、納得のいく空間づくりをしていきたいところです。今後の「カドー」はどう展開していくのでしょうか。

金崎:引き続き、お客さまの暮らしの質を高めるための価値提案をしていきたながら、空気に対する人々のリテラシーを上げていきたいです。なので、例えば加湿器や空気清浄機に留まらず純度の高い植物性のアロマリキッドやデフューザーの開発を通じて、心身を整えるための手助けを促す提案も行っております(2月下旬発売予定)。もちろん香りだけでなく、空間の除菌や消臭という点でも追求していきお子さまや年配の方への快適性につなげられればと思います。

奈津子(家電女優):ドラマ「野ブタをプロデュース」で女優デビュー。その後SDN48でアイドルとして活動し、卒業後に家電アドバイザーGOLD等級を取得。現在はテレビ東京系列「なんでも鑑定団」、東京FM「スカイロケットカンパニー」出演中。インスタグラム「natsuko_kaden」では愛用の家電を紹介中